土曜ドラマ「ボーダーライン」 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

NHKの土曜ドラマ

ボーダーライン

全5回

観た


すごくよかった


消防・救急の現場で働くひとびとの使命感と葛藤


ひしひしと伝わってきた


キャストのみなさんの本気度もすごかった


かなり本格的に訓練したことが画面を通してうかがわれた


小池徹平さん

藤原紀香さん

筧利夫さん

橋爪功さん


そのほか

はっきりいって

全員それぞれによかった


小池徹平さんは

あまいマスクに似合わぬ運動神経と器用さで

いい役者さんだと思った


藤原紀香さんの熱の入れようったら

全力投球ばりばりで

こんなこともできはるねんやあ

と感嘆した


紀香の時代が来そうな予感

スタッフのみなさんは大変だと思うけれども

5回に留めず

アメリカの群像連続ドラマシリーズばりに

何回もやってほしいくらい


でもこれで終わりっていうのも

潔くていいけど


石野真子さんのお母さん役にもびっくりしたけど

すごく雰囲気が出ていた


全体を通して大満足だったのだが

ひとつだけ言わせてもらえるなら

個人的には

非情なバッドエンドも悪くないと思う


もちろんメッセージ性は強いながらも

エンタテインメント性を抜きにしては番組として

成り立たないだろうから

これはこれでよかったのだが

あえてひとつ


地震の後の化学プラントでの救出シーンで

小池徹平さん演じる川端が救出に行くことを提案したところと

鉄骨に足を挟まれた従業員の救出のところで

救助隊員自体に危険がある場合の撤退の苦渋の判断

という部分を見たかった気はする


もちろん救助隊員のみなさんは

自らの命にかえても市民を助ける

っていう気概を持っているのだが

それでも勇気ある撤退ということは考えなければならない


それを判断するのは現場のリーダーの役目


むずかしい判断が求められるのだが


救助隊員が負傷や死亡をしてしまった場合

それは尊い美談として語られがちだが

現実には以後の救助に影響が出るのだ


これは

過去の大規模災害での教訓である


ひとりの市民と

ひとりの救助隊員の

命の重さ


同じであるといいたいところだが

果たしてそうだろうか


大規模災害時に負傷の程度によって救助の順位付けをおこなう

トリアージ


これは現場での究極の判断だ


だれも人命に順位なんてつけたくない


けれども

より多くのひとの命を助けるためには

その非情な判断が必要になる


助かる見込みのないひとと

重症だがなんとか助けられそうなひと

素早く対応すれば助けられるが遅くなるほど助かる確率が減る10人の軽症者


リスクを冒して1人を助けにかかるよりも

そこは涙をのんで見送ることにより

今後の救助にかける


助けられる側のぼくたちも

そういったことに思いを馳せなければならない


非情だが

大規模災害時にはそういう判断が必要だと思う


美談はむしろ

助ける側ではなく

他者を助けるために自らが助けられることを辞退する側にある