――もしもあなたに特殊な能力が与えられるとしたら、どんな能力がいいですか?
――わたしはひとを癒す能力がほしい。
くーっ、かっこいい!
これは、ずいぶん前に何かの映画で主演したときにキアヌ・リーブスがインタビューで答えていたことば。
ぼくなんかは、自分のためになる能力、しかも基本的にはエロい方面に活用できるであろう能力しか思い浮かばないのだが、他人のために能力を使いたい、っていう発想自体がセレブリティ。
っていうか、メディアでふだん目にするセレブっぽいひとたちは、逆に俗っぽいかな。
仮に、ひとを癒すことが自分の幸福になるっていうことだとしても、キアヌのこの発想にはまいったものだった。
いまでも印象に残っているくらいに。
それでは、ひとを癒す能力とは何か。
キアヌはきっと手で触れるだけでひとを癒せるような神レベルの癒しを考えていたんだろうけど、現実レベルでもひとを癒す仕事っていうのはある。
たとえばマッサージとか、温泉とか、音楽とか、ひとを癒すことに関わる仕事。
そういう仕事に日々関わっているひとは忙しくって、むしろ自分自身を癒してほしいよ、って思っているかもしれないけれど、ぼくたちにとってはとてもありがたい能力だといえる。
それに、仕事じゃなくっても、ひとの話をきくのが上手なひとや、その場にいるだけで空気が和むひととか、そういうのも癒す能力だし。
ときにはぼくも癒されたいと思うことはあるけれど、逆にひとを癒すことを意識する方が身の回りの世界が少しずつよくなっていくのかもしれない。
そんなことを思った梅雨入りの夜。
ほどほどの雨ってひとを癒してくれるよね。