小説に登場する理想の父親 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

唐突な思いつきですが

小説に登場する理想の父親

といえば

ぼくは

谷崎潤一郎さんの

細雪

に出てくる

次女の夫

を選びます。


もちろん

美人の妻

をめとればもれなく

美人の妹ふたり

もついてくるという僥倖

を授かっていることに対する

羨みもありますがそれよりも

おとなの男性としての

思考と行動に

圧倒的な頼りがいを感じます。


妹たちの縁談で

いざこざみたいなものが起こった時も

至極まっとうな思考で

至極まっとうな判断をくだし

至極まっとうな行動で

事態をおさめます。


その手腕に痺れます。


神戸の水害のときの

末の妹を心配する行動も

おとなの男性

昭和初期の良家の世帯のあるじ

としての責任感と愛情と行動力に

感動します。


ふだんは落ち着き払っている

おとなの男性が

ここぞという場面で

活躍する姿には

ときめきますよね。





もうひとり選ぶとすれば

島田雅彦さんの

預言者の名前

主人公(?)ワタルのお父さん

です。


細雪の次女の夫とは正反対の

非常識なお父さん。


会社では部長にまで昇進するくらいの

手腕と常識を備えながら

家庭では

徹底的に常識を疑うことを

息子に教えます。


その諭すことばは

非常識でありながら

奇妙な説得力をもっています。


――「尊敬する人は父です」なんて決していうなよ。パパを乗り越えようなどと考えてもいけない。おまえはパパの影響を受けてもいけない。もっとわかりやすくいえば、おまえはパパを好きになっても、嫌いになってもいけない。


――じゃあどうすればいいの?


――おまえの友達のパパが息子にしてやるようなことは、ちゃんとおまえにもしてやる。


――じゃあ、みんなが自分のパパにしてやることを、ぼくもパパにしてやるよ。


――しかし、これだけは覚えておけ。オレはおまえを一切アテにしていない。だからおまえもオレを自分のパパだからって、アテにはできないんだからな。おまえはママが期待しているように誰からも愛される人間になるかも知れないが、逆に誰からも憎まれる人間になりやすくもある。オレはおまえを守ってやれない。だから、今のうちから、おまえが世の中をうまく渡り歩けるようにあれこれ教えてやっている。きっとおまえには、オレが何をいっているのかわからないだろう。でも、世の中はそんなにわかりやすいものじゃないことだけはわかるはずだ。世の中を甘く見るな。




思いついたのは

極端なこの2人ですが

ほかにももっと

魅力的な父親たちが

小説世界にいることでしょう。