便利な世の中になったものだ。
NHKの“全力応援!ソチオリンピック”のサイトで、競技の模様のダイジェスト動画を観ることができる。
たしか、前回の夏のオリンピックのときから始まったと思う。
で、ソチは時差が5時間あってなかなかリアルタイムでは観られないので、このサイトにお世話になって、いろんな結果をちょこちょこと観てみた。
まあ、はっきりいって、スポーツは観る専門で、しかも、普段からだれかを応援しているわけでもなくて、話題性のあるときにだけ、にわかにファンになるっていう、きわめていい加減な態度なのだが、それでも、一生懸命、目標に向かって自分を磨いているひとの姿をみるのは、単純に感動的なことだ。
特に、上村愛子さん。
予選、準々決勝、準決勝と各動画をチェックしてきて、決勝の動画をチェックしたとき、そのインタビューの様子が、あまりにもいいものみたなあ、という感動的なものだった。
表情といい、声の調子といい、選ぶことばといい、すべてにこれまでの競技人生、彼女にとってはおそらく人生とほぼイコールなんだと思うけど、それがあふれんばかりに詰まっているように思えた。
1998年の長野オリンピックから5大会連続、あしかけ17年のオリンピック経験。
メダルうんぬんよりも、出せる力を出し切ったという清々しさこそが最高の自分への贈り物になっただろう。
もちろん、彼女のたいせつなひとたちにとっても。
競技を通して人間性を高めるっていうのは、オリンピックの精神そのものだと思う。
で、まあ、こんなに感動的な上村愛子さんの話題のあとになんなのだが、自分のスキー経験もひさしぶりに思い出した。
あのコブ。
若き日のスキー初心者のぼくは、友人の導くままに着いていき、気づくと上級者コースのリフトに乗せられていた。
下から見上げる斜面と、上から見下ろす斜面の角度は全く異なる。
それはおそらく自分の身長分の目の位置の高さの違いによる錯覚だと思うが、上がってみてびっくり。
もうほとんど直角じゃないのと思うほどの急斜面。
おまけにコブだらけ。
さらに、コースの幅も狭いんじゃない?
これ、間違ったらコースアウトして、崖からまっさかさまとかじゃない?
まあでも降りてみるか、とおっかなびっくり滑り出したが、はっきりいってぼくみたいな初心者が滑れるような斜面ではなかったのであった。
残念ながら続行することは不可能で、リフトを下るという屈辱的かつ迷惑な結果になってしまった。
で、そんなおそろしい記憶のあるコブだらけの急斜面を、猛スピードでくだり降りつつ、さらに途中で回転したりするというモーグル競技の映像をその後にテレビで観て、すごいなあ、って思ったのだった。
思えば人生もコブだらけの急斜面をくだるようなもの。
ぼくも体幹を鍛え、膝を柔らかくして、ときどきエアーも決めちゃいながら人生の坂道を滑り降りたいものだ。
いや、話は逸れに逸れたが、上村愛子さんのような清々しい気持ちを体験するには、ぼくもぼくのゲレンデで自分を磨かなければならないんだろうなあ……