ぼくには珍しく、ひといきで読み終えた。
西加奈子さんの作品、ぼくと相性がいい。
主人公のこっこ(琴子)は小学3年生。
祖父、祖母、父、母、14歳の三つ子の姉たちとの8人暮らし。
こっこの家庭の中心には、潰れた駅前の中華料理店、「大陸」からもらってきた真っ赤な円卓。
これの存在感が圧倒的。
円卓を囲んで、家族の日常が過ぎていくのである。
ああ、なんてユーモラス。なんてセンチメンタル。なんてデリケート。
こっこの小学生生活。
琴子と呼ばれたいこっこ。
ニヒルでクール。
ちょっと同級生もみんなませすぎちゃうのん? と思うくらい大人びている、というか老成しているような思考と言動。
いや、小学生って案外そんなもんかもしれない。
こっこの思考がかわいくって仕方がない。
凡人を容赦なく切り捨てる。
ひとと違うことに憧れる。
たとえそれが一般的には避けられることであったとしても。
まあ、もうちょっとことばづかいはあらためたほうがいいとは思うけれども。
家族、同級生、先生、登場人物がみんな魅力的。
それぞれが少しずつ何か事情を抱えているからかもしれない。
現実の世界でも、みんな何事もないような顔をしながら、それぞれ何かを抱えているわけだけれども。
ぽっさんとこっこの友情。
ああ、いいなあ。
エンディングの演出も素敵。
西作品の得体のしれない生命力と躍動感にまたやられてしまった。
――円卓――
西加奈子