自分でいうのはなんですが、仕事中はとても集中しているぼく。
常に周囲の動きに気を配り、アクシデントが勃発すると即座に対応するのです。
スケジュール管理なんてあたりまえで、締め切りに間に合わないとか、やるべきことを忘れてしまうとかいうことなんて、ほとんどないのです。
そんなぼくなのですが、仕事を離れると、まったくもって気が抜けます。
入浴中、ぼうっとしていて髪を二度洗ったりするのはよくきく話ですが、ぼくは体を二度洗ったりもします。
あれ? 洗ったかな? とわからなくなって、念のためもう一度最初から順番に洗い始めると、足を洗うくらいの段で、さっき洗ったことをまざまざと思い出したりするわけです。
外食していて、自分が何を注文したかを忘れるなんてこともしょっちゅうです。
先日、こんなことがありました。
とある牛丼チェーンで、ぼくはとん汁セットを注文しました。
ほどなくぼくの前にどんぶりとお椀が運ばれ、さあいただきます、と箸を持ったとき、隣のテーブルでなにやら戸惑いの空気が流れていることに気が付きました。
そちらを眺めると、どうやら注文したものとは異なるものが隣のお客さんに届いたよう。
店員さんは手にとん汁らしきものを持っています。
ふとぼくの前のお椀に目をやると、とん汁ではなくみそ汁が入っているではないですか。
ああ、なるほど、隣のひとの注文したみそ汁セットとぼくのとん汁セットとが逆になっているのですね。
――あ、それ、もしかしたらぼくのですか?
店員さんがあわてて確認して、そのとん汁をぼくのところに持ってきて、みそ汁と交換しました。
ちなみに、隣のひとにはぼくの前にあったみそ汁を持っていくのではなく、あたらしいみそ汁を用意していました。
おおかたのひとは、自分が注文したものと異なる料理が運ばれて来たら、その場で、これは違いますよ、って指摘するのでしょうけど、ぼうっとしているぼくは、果たして自分が何を注文したのか、料理を待っているあいだに忘れてしまうのです。
カレーを注文して、パスタが運ばれてきても気づかないこともあります。
いったん目の前に料理が置かれると、それが注文したものであろうとなかろうと、食べるモードに突入してしまいます。
間違っていることに気付いても、むしろ目の前の料理の方がおいしそうにみえてきて、もう間違ったままでよいですよ、これを食べますよ、と言いたくなることもありますが、その料理を待っているお客さんもいるわけで、葛藤が生じます。
こういうことは、最近、始まったことではなくて、子どもの頃からそうなので、きっと物忘れが激しくなった、という性質のものではないと思われます。
まあ、そんなに困ることでもないので、あらためたいとも思わないのですが、ひとによっては、こういうぼうっとした行動を信じられないというひともいらっしゃいますよね。