また観てしまった。
そしておもしろかった。
ドラマ。
泣くな、はらちゃん。
こういう設定、好きなんだよね。
現実世界の越前さんという女性が、現実世界であったできごとに対する憂さ晴らしのために夜な夜な書き綴る自分だけの漫画の登場人物たち。
その登場人物たちが、まいにちまいにちぱっとしない自分たちの物語の原因は、漫画の世界をつくりだす神様(越前さん)の機嫌が悪いためだと気づき、主人公のはらちゃんが自ら神様の機嫌をよくするために漫画の世界から飛び出していくというストーリー。
時代から取り残されたようにさびれた漁港が舞台。
先日観た、「ビブリオ古書堂の事件手帖」と同様、画面の色合いやロケーションがぼく好み。
派手さはないけれどもノスタルジーを感じさせるこの地味さは近頃のぼくの気持ちにマッチする。
ほとんど観ないドラマでたまたま目にしたこの2つのドラマがこういう共通点を持っているというのは、ぼくがそういうことに気持ちが向いているだけか、はたまた時代の要請か。
日本の社会一般が疲れ果て懐古趣味で癒されたがっているとも思えなくもない。
いまに始まったことじゃないか。
しかしこのドラマも単にロケーションがいい感じにさびれているだけじゃない。
やっぱり映像や演出のセンスがいいと思う。
長瀬智也さんのはらちゃんは熱くて漫画的。
そして麻生久美子さんの越前さんはリアルに控えめで切ない感じ。
この両者のギャップが異世界感を醸し出していていい。
漫画の世界、外の世界、もしかしたらぼくたちの住むこの世界だって誰かの描いた漫画のなかの世界かもしれない。
ならばこの行き詰まった世界で生きるやるせないぼくたちも、この世界の外の神様のご機嫌を直すために出て行かなければならない?
なーんて、こういう設定は哲学的で楽しいな。