買おうかなあ
どうしよっかなあ
積読本がたまるのは趣味じゃないしなあ
なんて思いながら書店の棚から手にとった
岩波文庫の
カフカ短篇集。
冒頭の
掟の門
を立ち読みし始めて
1段落目からからめとられた。
うわあ
この寓話
完全にぼくの趣味嗜好に合致やん。
がっちがちやん。
(大切なのは思いついちゃってもいわない勇気)
わずか3ページちょっと。
シンプルに進む
門番と男とのやりとり。
カフカ的不条理と
シニカルな笑いで
シリアスなのにおなかがよじれる。
いや
この作品で笑える人と笑えない人がいるだろうけれど難解と構えずに身を委ねるとそこかしこが滑稽であることに気づく。
実際世の中なんて捉え方次第で悲惨でも滑稽でもあるわけだから。
読みながら
城
であるとか
審判
であるとかいった長編の作品世界と通じる思考パターンが垣間見える。
既視感はそれゆえか。
それぞれの表現や会話が何を暗示しているのかと読み取りたくもなるしまた余計な詮索をせずとも行間と読後には無限に想像の宇宙が広がっていてゆらゆら揺られる。
明快な答えなんて親切に用意されていない。
落ち着かせてくれない。
そしてとっておきのラスト。
後頭部をいきなり鈍器のようなもので殴られたような衝撃。
呆然。
そうくるか。
呆然としたままこの短篇集はもとより
隣に置かれていた
変身・断食芸人
も勢いで手にとりレジにてお買い上げ。
本の衝動買いは至福やね。
掟の門とはいったいなにか。
個人的なつまらないこだわり?
意味を問うことを許されない社会的不文律?
本好きな人となら
この作品だけで2時間ぐらい語り合えそうな
そんな謎めいた作品。
-掟の門-
カフカ
訳 池内 紀