近頃
どうにもまとまった本が読めない。
ONE PIECE
を1巻から読み直してみたりしている。
こんなときには
川上未映子さんの
エッセーなんてちょうどよいかも。
そういうわけで
夏の入り口、模様の出口
を読んでみた。
ファンという割には
読んでいない本も多々あるのである。
3年前から週刊新潮で連載していた
エッセーというだけあって
やっぱりまだまだかるくてあかるい。
よくもまあ週刊誌に連載なんて
できたものだなあとも思う。
ネタがないよね。
それでもなんとか搾り出した
切り口の数々。
ぼくなんかには
とうてい引っかかりもしないような
ささいな現象から
思考を紡ぎだすセンスは
やっぱりこのひとの
好きなところ。
で
その思考パターンもぼく好み。
思考の癖
って誰でもあるよね。
殺人事件の犯人に怒ってみたり
金縛りをめくるめく夢のアトラクションに変換してみたり
自分の死後のパソコンデータを心配してみたり
甥っ子に哲学的示唆を与えられてみたり
自分がいつの間にかその筋では熟女の範疇に
入っていることに気づかされてみたり
電車で隣り合わせた人が
自分の書いたエッセーのページを開いているのを
目撃したので様子を観察してみたり
とにかくまずいラーメン店で不思議なめに遭ってみたり
ともだちにみんなコーヒーで生きていると言われてみたり。
おもしろい経験をするのではない
経験をおもしろくするのだ
って言われている感じ。
いや
そんなん言われてないかな。
さすがに
毎週おもしろい
ってわけでもなかったけれど
こうして川上未映子さんの
文章の腕は磨かれていったのであろうな
となぜか上から目線っぽく。
-夏の入り口、模様の出口-
川上 未映子