たち別れ いなばの山の 峰に生ふる
まつとし聞かば 今帰り来む
中納言行平
お久しぶりの小倉百人一首。
古くから残っていることばには
おのずとなにがしかのちからが宿っています。
おまじない
っていうのは漢字で書くと
お呪い
ってことで
のろいとまじないの区別は
難しいのです。
ともかく
おまじないっていうのは
特に神秘的な超常現象というわけではなくて
ことばに宿ったちからの効果だと思います。
前置きが長くなりましたが
うたのちから
ことばのちから
というのは必ずあるわけで
和歌なんかは
ほんとうに力強いのです。
往なば と 稲羽
待つ と 松
の掛詞は巧みなだけでなく
ことばの響きが多層的に織り込まれています。
情景と感情の
二つの情が浮かび上がります。
遠く旅立つ故郷。
待ってくれている故郷のひと。