口語訳 古事記 〔完全版〕 メモ(神代篇 其の六) | (本好きな)かめのあゆみ

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其の五 国譲りするオホクニヌシ - 天つ神と国つ神 はこちら


其の六 地上に降りた天つ神 - 天孫の日向三代


国つ神オホクニヌシから国譲りを受け

アマテラスとタカギの神は

アマテラスの子

マサカツアカツカチハヤヒアメノオシホミミに

葦原の中つ国を統べ治めるよう委ねる。


マサカツアカツカチハヤヒアメノオシホミミは

その子

アメニキシクニニキシアマツヒコヒコホノニニギ

に行かせることを打診し

アマテラスも了承する。


ヒコホノニニギが葦原の中つ国に降りる途中

天の八つ辻に

国つ神であるサルタビコが待ち構えていた。


これに対抗するため

アマテラスとタカギの神は

アメノウズメ

(美女の神であり天の岩屋での踊りで神々を魅了した)

を遣わし

サルタビコを従えさせる。


ヒコホノニニギの降臨に際しては

天の岩屋で活躍した神々もお伴の者として

一緒に降り立った。


さらに

八尺の勾玉、鏡、草薙の剣

を与えられた。


ヒコホノニニギが降臨したのは

筑紫の日向の高千穂に高々とそびえる峰。


そこに宮を建てる。


ヒコホノニニギはあるとき笠沙の岬で

うるわしいおとめに出会う。


オホヤマツミの娘コノハナノサクヤビメ。


ヒコホノニニギは求婚するが

コノハナノサクヤビメは自分では決められないので

父のオホヤマツミに聞いてくださいという。


聞いてみるとオホヤマツミは大喜びで

コノハナノサクヤビメに

姉のイハナガヒメも副えて

ヒコホノニニギに嫁がせた。


これには理由がある。


しかし

ヒコホノニニギは姉のイハナガヒメの不器量を恐れ

親許へ送り返す。


それに怒ったオホヤマツミは

ヒコホノニニギにのろいの言葉を送る。


こののろいによって

ヒコホノニニギの末裔の寿命には

限りができてしまった。


神の寿命には限りはなかったのに。


しばらくしてコノハナノサクヤビメは子を身ごもる。


これをきいたヒコホノニニギは

一夜限りの契りで子を身ごもるのはおかしい

それはきっとわが子ではあるまい

と疑う。


ひ、ひどい。


コノハナノサクヤビメは

身ごもった子が神の子であることを証明するため

燃えさかる炎のなかで子を産み落とす。


生まれたこどもは

ホデリ

ホスセリ

ホヲリ

の三柱。


生まれたこどもは

天つ神と国つ神の両方の力を宿している。


ホデリはウミサチビコと

ホヲリはヤマサチビコともいう。


それぞれ海と山で暮らしていたが

ある日ホヲリがホデリに

お互いの道具を取り替えようと提案する。


神の道具はすなわち自分の能力そのものなので

兄のホデリは嫌がるが最後にはしぶしぶ

弟のホヲリに釣り針を貸し与える。


ホヲリはその釣り針で釣りを試みるが

あいにくうまくいかない。


挙句の果てにその針を海のなかでなくしてしまう。


返せというホデリに

ホヲリは自らの剣をつぶして

たくさんの釣り針をつくって返そうとするが

ホデリはどうしても

失くしたもとの釣り針でなければならぬと

許してくれない。


困ったホヲリが泣き悲しんで海辺にたたずんでいると

シホツチが現れ

ホヲリを助けるための提案をしてくれる。


ホヲリはシホツチの提案に従い

竹を隙間なく編んで潜水艦のような舟をつくり

潮の流れに乗って

ワタツミの宮にたどり着く。


そして首尾よくワタツミの娘トヨタマビメに出会い

トヨタマビメと恋に落ち

ワタツミの許しを得て結ばれる。


そこで3年間暮らしていると

ようやく元の目的である

ホデリの釣り針のことを思い出し

どうしたものかとため息をついていると

トヨタマビメが心配し父のワタツミに相談した。


ワタツミは海の魚たちを集めて

釣り針を知っているものはいないかと問うたところ

のどにとげが刺さって痛がっているタイがいるというので

調べてみるとそこにホデリの釣り針が刺さっていた。


釣り針をようやくみつけて

兄に返すときに

ホヲリはワタツミに教えてもらったのろいの言葉を

ホデリに唱える。


そのせいで

ホデリは貧しく衰え

ついにはホヲリに従うことになってしまう。


ホヲリの妻のトヨタマビメが子を身ごもり

子を生み成すことになったが

生むときの姿は決して見ないようにと

ホヲリに告げる。


しかし

ホヲリは見てしまう。


すると覗き見たトヨタマビメの姿は

大きなサメの姿になっており

ホヲリは驚き畏れて逃げ出してしまう。


子を生んだのち

トヨタマビメは自分の姿をホヲリに見られたことを恥じ

ワタツミの宮に帰ってしまう。


代わりに妹のタマヨリビメを

ホヲリとわが子

アマツヒコヒコナギサタケウガヤフキアヘズのもとに遣わす。


のちに

アマツヒコヒコナギサタケウガヤフキアヘズは

育ての母であるタマヨリビメと結ばれ

イツセ

イナヒ

ミケヌ

カムヤマトイハレビコ

の四柱を生み成す。


この

カムヤマトイハレビコこそ

初代天皇である神武の本名なのである。


ついに出ました。

神武天皇。


ここまで長かったあ。


それにしても今回の神話もドラマチック。


日本的な物語のプロトタイプがぎっしりと詰まっている。


ぼくのメモは端折り過ぎているので

おもしろみが伝わらないとは思うけど

実際この三浦祐之さんの口語訳と解釈は

実にわかりやすく興味深い。


スリリングですらある。




其の七 東へ向かうイハレビコ - 征服する英雄

に続く





-口語訳 古事記 〔完全版〕-

訳・注釈 三浦祐之