オノウエさんの不在 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

ワーカーズ・ダイジェスト

の単行本に所収です。


こっちの方が短いです。


あいも変わらず

会社員には身につまされる地味な話です。


自分自身が社畜になっているのでは

と感じたときに読むと

今の日本では

自分だけではなく多くの会社員は似たように

疲弊させられているんだな

と再確認できてある意味それで

ほっとします。


そんな疲弊して希望の光も見えないような

30歳前後の同僚たちのやりとりが

滑稽なほど切実に描かれています。


それぞれが先輩のオノウエさんの影響を受けていて

そのオノウエさんの社内で置かれた状況に異変を感じながら

情報交換をやっていくというのが

主な内容なんです。


誰のせいかはもはや分からないような大きな流れの中で

自分のことだけで精一杯で

他人に思いやりをかけることなんて到底できない状況のなか

決して大きくすさむことなく誠実に生きていく

弱き会社員たち。


ラストで弱々しいながらも

明るい光が見えて

ちょっとほっとしました。


ほんとはもう少し余裕を持って

ひとにやさしくしていたい。





-オノウエさんの不在-

津村記久子