これも
すばる 6月号
に掲載されていました。
もちろん初めて作品に触れる
作家さんです。
すばるには
巻末に作者の紹介が
簡単に掲載されているんですが
読後にそれをみてびっくり。
独特の雰囲気はこのせいか
と得心したような気になりました。
物語は
一人で暮らす高齢の資産家女性の邸に
アラサー女性が住み込みで
ちょっとした家事を手伝うなかでの
交流が描かれています。
ことばは伝えるべき相手にだけ真摯に発するということ
男女の微妙な心身の交感
老いと生き方
みたいなものについて
いろいろと考えました。
小説とは直接関係ないですが
こんなことも考えました。
ぼくは
アンチエイジングっていう流行が嫌いで
もちろん若々しくありたい欲望っていうのは
あるけれども
そこはやっぱり自然に
できれば美しく年を重ねたいなと
思っています。
華麗なる加齢
っていうとくだらなさ過ぎますが
不自然な若々しさは
却って魅力を損ねるような気がしています。
老いというのは
自覚すればするほど恐ろしく感じますが
老いと上手に向き合うことが
美しく年を重ねるコツではないかと。
老いとまではいかなくても
体力が落ちてきたのを実感するだけでも
がっかりしますし。
気になるのは
今
何かを恐れるかのように
あまりにも一生懸命にアンチエイジングを
している人たちが
いよいよ何十年後かに
いかんともしがたい老いの年代に差し掛かったとき
果たしてどのようになっているのだろうかということ。
自らの老いに耐えられずに苦悩している
人々の姿がなんとなく想像されますが
いかがでしょうか。
案外そういう人たちは
それはそれでうまくやっていくのかもしれませんが。
-垣根のむこう-
甘糟幸子