こういう女性好きだな。
明るい虚無。
主人公のサチ子は
風変わりな女性です。
そのサチ子の一人称で
物語は綴られます。
坂口安吾さんの一人称作品は
少ないそうだけど
この作品は実によくできています。
内容はかなり異なりますが
太宰治さんの
女生徒
を
思い出しました。
ぼくみたいなタイプには
こういう女性は数は少なくても必ずいるはずだ
なんて思えてしまいますが
実のところどうなんでしょう?
女性から共感を得られる作品に
なっているのかな?
もちろん女性っていっても
ひと括りにはできないのですが。
とにかく
普通とは異なる価値観で
物事を見つめているその生き方は
なんだかとても愛おしい。
彼女にぞっこんになる久須美の気持ちも
よくわかります。
しかも久須美も世捨人然としていて
そこもぼくは好き。
こういうおとなにぼくはなりたい。
決して明るい話ではないのにもかかわらず
物語全編が気だるい明るさに満たされていて
そして物語のフィニッシュの文章も
明るい余韻に包まれていて
ステキ。
-青鬼の褌を洗う女-
坂口安吾