食料は国境を越えて | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

広大な水田地帯。


青空のもと

人々は耕作に汗を流す。


1日の仕事を終えても

彼らの食卓に米は載らない。


貧しい小作人たち。


つくられた作物は

異国の人々の胃袋を満たす。


商社の担当者は言う。


わたしたちはこの国に

雇用と農業技術を提供している。


確かに外国企業の進出がなければ

この痩せた土地が

農地になることはなかっただろうし

人々に仕事が与えられることも

なかっただろう。


しかし

この国の人たちが作った米を

この国の人たちは食べることができない。


小作人は言う。


外国企業が来るまでは

わずかながらでも政府に借りた土地で

自分たちの食べる米を作ることができたのに。


政府は小作人たちから土地を没収し

外国企業に提供した。


昨日まで耕していた土地で

警備員として雇われる

元小作人。


農地の周りで銃を携え

不審者を警戒する。


農地の周りには

飢えた自国民。


銃口は彼らに向かう。





青臭い正義を振りかざすのは

どうぞご自由に。


食料もビジネスだなんて

分かりきったことではないか。


それにその食料を腹に入れるのは

品質が良くて高価な食料を購入できない

外国の貧しい人々なのだ。


わざわざグローバルな視点で語るまでもなく

この国でも食料の不条理は

そこここにある。


空腹でもないのに食べずにいられない人。

飢える人。

豊作で値崩れを防ぐために廃棄する野菜。

売れ残って消費期限切れで捨てられる食品。




そんなことを考えながら

今日もいつもどおり何かを食べる。

できればおいしいものを。