白痴 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

実は夏に読んでいたんですが

今日あらためて再読しました。


読む時期や体調によって

作品のイメージって変わりますよね。


夏に読んだときは

あまりにも

桜の森の満開の下

夜長姫と耳男

の世界観が素晴らしすぎたので

そのほかの作品には違和感があったんですが

時期をあけて読んでみた今回は

ゾクゾクするほどの

美しさと狂おしさを感じることができました。


心理の描写も

イメージできない部分も多々ありましたが

偏執的に潔癖に

自分の美学を追及すると

こういう心理状態になるのかな

と想像します。


自分を特別な存在と感じ

世間、大衆、庶民を

蔑み侮っていると同時に

結局のところ

自分自身も卑小な醜い存在でしかないと

絶望しているところが

若くて繊細な感性の

ありがちな姿かなとも思いました。


空襲の描写とか

その際の主人公と女性の関係とか

切迫していてスリリングでした。


200円の月収の呪縛から

逃れられない描写も

身につまされました。




-白痴-

坂口安吾