ふと思い出して
安部公房さんの
超短編
(新潮文庫の短篇集
笑う月
所収でわずか8ページの)
鞄
を読んでみました。
ある男が
鞄のせいで
行ける道を制限されてしまうという
不思議な話です。
その鞄は
いつでも手放すことができるのですが
なぜか自主的に持ち歩きます。
思えば
鞄は
何かの暗喩と捉えることができます。
自ら望んで何らかの制約を引き受け
不自由だと愚痴りながらも
そのことによって安堵を得る。
そういうことはぼくたちには
よくあることだと思われます。
具体的にその制約とは何か
とは敢えて考えたくありませんが。
砂の女
とも共通する自由と制約についての
エッセンスが注ぎ込まれた作品のように
思えました。
-鞄-
安部公房