階段(2) | (本好きな)かめのあゆみ

(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

最早下には戻られない。


上へ上がるしか道は残されていない。


21階の扉を調べる。


動かない。


22階。


動いた。


扉がかすかに動いた。


期待に胸を躍らせ、扉を引く手に力を込める。


開放。


おめでとう。


やっと出られる。


悪夢よ

さようなら。


原因は追って調べよう。


しかし

扉の向こうに広がる光景は

何たることか。


小部屋に飲み物の自動販売機が

置かれているだけ。


自動販売機は壁に埋め込まれている。


部屋を見渡したが

さらに外につながる扉は見当たらない。


念のため自動販売機を動かそうと試みたが

びくりともせず。


ひとまず脱出のことは横に置いて

ミネラルウォーターを買うことにする。


喉が渇いていることに気がついたからだ。


警戒しながらコインを入れると

いつもと何にも変わらぬ調子で

水のペットボトルがはじき出されてきた。


味もいつもどおり。


運動の後の水は格別のうまさ

なんて思いながら

椅子もないので床に直接座りこんで

休憩することにした。