ヘヴン | (本好きな)かめのあゆみ

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執拗にヘヴンです。


ファンだから仕方がありません。


はっきりいって

好きな人からの手紙を読むような気分で

繰り返し読んでいます。


コジマからの手紙を読む

主人公のようなものです。


今回もネタバレしてますので

未読の方は読まないでください。
















川上未映子さんは

サプリメント的な小説ではなく

読者をそれまでみたことのないような

世界に連れて行ける小説を書きたい

といっています。


ヘヴンは

テーマとしては

善とは何か

悪とは何か

という古典的なものなので

特に目新しいともいえないわけですが

そこは

ルックスと話題性。


これまでこの手の作品を読まなかった

人たちの手に届いたということは

とにもかくにも川上未映子さんの

貢献でしょう。


苛めの描写が生々しいという

評がありましたが

ぼくはそうは思いませんでした。


川上未映子さんは

暴力の描写が嫌いで

憎しみすら覚えると

いっていましたが

苛めの描写について

それほど力を注いでいたとは

思いません。


そういうところのリアリティは

求めていないように思われます。


むしろ

思考の対立についての

リアリティに重きを置いていると

感じました。


そういう意味では

ある種の寓話

おとぎ話といっても

いいかもしれません。


また

コジマと主人公の

恋愛を描いた作品とも

いえます。


結果論ですが

コジマと主人公は

最初っから

結ばれることのない

出会いだったのかも

しれません。


「しるし」によって引き寄せられたがゆえに

決して分かりあえないふたり。


コジマの愛情は残酷ですらあります。


でも女性の恋愛感情って

一方的なことってありますよね。


えっ そこに惹かれるの?

みたいな。

なぜか一方的にがっかりされたりして。


犬のような男性には

猫のような女性の心情は

はかりしれません。


逆もあるんでしょうけど。


川上未映子さんの次回作は

恋愛ものとのことですが

通常の枠に収まり

読者に安心感を与えるような

作品は書かない

読者の常識(思い込み)を揺さぶる

作品を書きたい

思いが成就するときと

成就しないときの境目について

書きたい

みたいなことをいっていました。


これも恋愛ものの舞台を借りた

世界観の物語になりそうです。