絵画の庭 ゼロ年代日本の地平から | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

折りたたみ傘は

鞄の中にあるが

あえて

春雨に濡れながら

中之島の国立国際美術館へ。


傘をさす人々に混じり

傘をささずに颯爽と歩く

ぼくは英国人気取り。


(颯爽と歩いているのは

ぼくの妄想)


途中

堂島ロールを求める列に

並びたくなる衝動を抑え

堂島川沿いを進む。


帆船の帆を思わせるあのファサード。

美術館に到着。


うっかりガムを噛みながら

館内に入りかけ

警備員さんに制止される。


警備員さん

ガムを見抜くなんて

あんた

いい仕事しているよ。


久しぶりに

美術館に入ったが

刺激的な空間だった。


静か 静か 静か


シンプル シンプル シンプル


そこにあるのは

絵と壁と床と高い天井と空間と静寂。


平日の昼間で

しかも雨の

美術館は贅沢な空間だ。


鑑賞者は極々まばら。


そしてほとんどが

10代から20代の若い人たち。


こういう空間に

足を運ぼうっていう

君たちは

そのことだけで

すでに

精神的貴族。


が、しかし

美術館でのぼくのルールは

ここにはぼく以外に誰もいないものとみなして

自分と作品とが対峙すること。


他の鑑賞者はもとより

隅っこに座って作品を

見守っているあの方々さえ

意識の外に消し去る。


(実は消し去ろうとすればするほど

意識してしまうこの皮肉。)


各作家ごとに区切られた

ひとつひとつの部屋を

順に鑑賞していく。


今日はホントに空いていたので

奈良美智さんの部屋や

草間彌生さんの部屋で

ひとりっきりで

作品に囲まれることができた。


こんな部屋で暮らしてみたい


と一瞬は思うが

実際にそうなると

きっと苦しくなるだろうと

思い直す。


作品のことなんて

何にも分からないけれども

美術館で過ごす

時間は

非日常的で

とても優雅な

ひとときだった。


雨っていうのも

作品に静かに集中するには

おあつらえ向きだったかもしれない。


バラエティに富む

28人の作家の

作品が展示されていたので

どなたでも

きっと

好きな一枚を

見つけることが

できるでしょう。


ちなみにぼくの気に入った作品は

次のとおり。


・奈良美智さん Agent Orange

 大好きなあの人に雰囲気が似ていたので。


・中山玲佳さん Safarism-Zebra

 -Deer と対で威厳漂う自然のあり姿。


・加藤美佳さん カナリア

 あの大きく潤んだ瞳、唇。そんな瞳で見つめられたら。


・小林孝亘さん Pillow

 白い枕。あまりにも立体的で思わず顔を埋めたく。