今、読んでいる本は、
できるだけ落ち着いた気分のときに
読みたい本なので、
落ち着かない今は
なかなか本に手が伸びません。
で、ちょっと志賀直哉の暗夜行路を
読んでみたくなり、
後篇の、結婚後の話あたりを
ペラペラめくってみた。
主人公の我慢ぶりや拘泥ぶりは
いたたまれない。
赦したい。
でも赦した相手がいずれ、
赦されたことを忘れて
何事もなかったように
暮らしていくかもしれないことへの嫌悪感、
そんな思いに拘泥する自分への
歯がゆさ、もどかしさ。
相手は心から悔いているし、
そもそも相手も被害者とも言えるんだから、
きっぱり赦して忘れりゃいいじゃん、
それが男の器量じゃん、
とはいかないんだよね。
そうやって悩むのが
男の誠実さでもあるんだろうけど。
主人公は最後まで独り相撲で
もだえ続けるんだけど、
相手もそのことは痛いくらいに理解していて。
正直、ぼくも一人で勝手に
もだえていることがしばしばあります。
他人から見ればしょーもない
意固地なんでしょうけど。
自分でもしょーもないことは
分かっているんだけど
心の落としどころが見当たらなくて。
そういう時は、
ほうっておいてもらうよりしかたないんですよね。