抑制の効いた格調高い文体。
美しい関西のことば。
谷崎自体に、エロスのイメージが強くて、
なかなか手を出しにくかったのだが、
せめて1冊でも読んでみようと。
(ところが、上中下の3冊だった。)
戦時中の作品だからか、この作品ではエロスは薄く、
清潔感が満ちていた。
大阪や兵庫、京都の馴染みのあるエリアが舞台で、
とても親近感が湧いた。
美人三姉妹(美しく、しかも若々しい。作中、何度もそれを強調。実際は四姉妹のうち、長女を除く)の、
優雅で清楚な人間模様に興味津々。
人物の性格設定が特徴的。
花見、蛍狩りなどの描写に憧憬。
(こんな体験してみたい。)
何よりも、次女の夫の態度や判断、行動が、
世帯主として、夫として、
実に理想的で、尊敬。
水害のシーンは、手に汗握りました。
三女と四女の縁談、恋愛問題は、
歯がゆくて、共感して。
長いので、改めて通読するのは、
何年後になるか分かりませんが、
印象的なシーンは時々読み返します。
30前後の独身美人姉妹の婚活物語として読むのも、
楽しいかもです。
-細雪-
谷崎潤一郎