メディエーター | (本好きな)かめのあゆみ

(本好きな)かめのあゆみ

かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

---あのロボット、よちよち歩きがなんだかカワイイ


---おい、ロボットくん、君が行きたいのはこっちだろう


そのロボットの周りには、いつも優しい顔の人間たちの輪ができていた


よちよちとおぼつかない足取りで街を歩くロボット

まっすぐしか歩けないが、目的地を首からぶら下げている


頼りないので、見るに見かねて周りの人間がロボットの手助けをする

手助けの過程で周りの人間同士のコミュニケーションが生まれる


人間は弱いものを見ると手助けしたくなる

弱いロボットは、人間の手助けの気持ちを引き出す道具として世の中に生まれた


けれど弱いロボットは考える


---ぼくを助けることで人間たちが笑顔になる


---でもどうして弱いものがぼくである必要があるのだろう


---人間の周りにも子どもや老人や病気のひと、弱い人たちはたくさんいるのに


人間は、本当に弱いものには関わりあいたくないと思っている

面倒なことに巻き込まれると思っている


本当に弱いのは、

弱いロボットに助けられなければコミュニケーションもままならない人間


ある秋の真夜中

心の弱い人間に破壊された弱いロボットの残骸が

河川敷の薄暗い橋の下に転がっていた