バンスについて | ホスト・キャバ嬢の法律

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ホストやキャバ嬢の仕事をしていると、時々法的な問題が生じることがあります。

そんな時にどのように対応したら良いのかを、これまで何人ものホストさんの相談

を受けてきた行政書士が説明するブログです。

どうも、takashirioです。


今日はどうしてホストさんやキャバ譲さんがお客さんのツケを肩代わりしなければならないのか、

いわゆるバンスについて、説明しますね。


あっそうそう…ここでは、ツケのことを言ってますが、前借金のこともバンスって言います。


さて本題に戻りますが、このようにホストさんやキャバ嬢さんがツケを肩代わりするのこの業界の常識だから・・・と言う意見もあるかと思いますが、法律上は少し不適切ですね。


それに、本来、お客様とお店との契約なんですから、ホストさんたちは、指名客の飲食代のツケについては、

支払義務はないはずです。


では、どうしてでしょう?


これは、就職時にお店とホストさんたちが


「もし、指名客が飲食代を払わない場合には、ホストが肩代わりをする。」


という契約をしているからだと思います。

(以前、相談に来たホストさんに聞いたら、「そうです。」と言ってました。)


そうでない契約もあるかもしれませんが、一応一般論ということで・・・



そして、この肩代わりする契約ですが、これは、民法上では「保証契約」といい、おそらくその中でも、特に

厳しい「連帯保証」になっている可能性がありますね。



しかし、この保証契約ですが、実は、この保証契約は書面(またはPCのデータ)上でしないと無効なんです。

民法446条2項を見てみましょう。


第446条  保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

2  保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

3  保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によって
は認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供され
るものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、
前項の規定を適用する。


ですから、もし、契約書がないのに、「お前は保証人なんだから、お前が客のツケを払え」と言われた場合は、

拒否することも可能なんです。

*なお、このルールは平成17年4月1日からの適用なので、それより前の保証契約には適用されませんので・・・


もちろん、そんな契約をしていなければ、拒否できることは、言うまでもないです。



それから・・・


お客様のツケを、ホストさんたちの「前借金」扱いするお店が多いようですが・・・


これは・・・連帯債務契約(お客様のツケは当然ホストさんのツケでいいよ、と言う内容の契約)になっている

可能性が高いですね。


この場合だと書面がなくても、成立しちゃいますね。


ですから、入店時にはお店に契約書を作ってもらった上で、しっかり契約内容を確認しておくことが重要です。


実際のところ、お店に長い間勤めてしまうと、契約内容について再度確認することは、結構難しいです。



それに、お店に対してやたらと法律論を振りかざすと、逆ギレされ、暴力をふるわれる可能性もあります。


ですから、できる限り入店前に契約内容の確認をすべきだと思います。

金銭面について怪しいと思う店には行かないことですね。



でも、実際のところ、「ツケの肩代わりは当然。」というお店は、今でも結構多いようですね。

ですから、そのような制度のない店を探す方が大変かもしれません。


そうすると、この点についてお店を相手にするのではなく、自分を指名してくれたお客様がしっかり、代金を

払ってくれることに期待するしかないですね。


お客様がどこまでなら、支払いできるか、みきわめが重要ですね。


そこで、次回はまた債権回収について説明しますね。