母校・春日丘高校の吹奏楽部演奏会に行く | 作家・土居豊の批評 その他の文章

母校・春日丘高校の吹奏楽部演奏会に行く

母校・春日丘高校の吹奏楽部演奏会に行く

 

今年もおしつまった12月22日、茨木市の立命館大学キャンパスのホールで、府立春日丘高校の吹奏楽部が演奏会をするのを聴きに行った。

 

※立命館いばらきフューチャープラザ

https://www.ritsumei.ac.jp/futureplaza/grandhall/

 

 

筆者の出身校であり、自分も吹奏楽部のOBでもあるので思い入れはあったが、これまで年末のこの時期の多忙にかこつけてこの演奏会に行ったことはなかった。かつて自分たちが高校生だったはるか昔には、12月下旬の演奏会として、近隣の3つの高校吹奏楽部の合同演奏会をやっていたのが、いつの間にかなくなってこの「パラダイスコンサート」に変わった。

時代の移り変わりを感じるのは演奏会そのものだけではなく、自分たちの頃の演奏会場だった「茨木市民会館」が老朽化のため取り壊されたのも感慨深い。

 

※過去動画「茨木市民会館ファイナルコンサートのフィナーレ」

https://youtu.be/UsgevkHBKgI?si=mk8unJNX5zzlMPgA

(撮影:土居豊)

 

※作家・土居豊チャンネル

 

 

 

新しい市立文化施設「おにクル」ができるまで、茨木市の高校の発表場所としては、新たに市内に移転してきた立命館大学のホールを借りていた時期があったという。立命館大学の新キャンパスは実にきれいな空間で、そのホールにも今回初めて入ったが、いかにもお金のかかった施設だという感じだ。

 

※写真は立命館大学茨木キャンパス

 

 

 

 

自分たちが40年前に体験した高校生活の雰囲気と、今の高校生たちの活動ぶりは、ずいぶん違っているように見えるが、それでも同じ高校、同じ部活の演奏会だという空気感も、どことなく漂っている。今回の演奏会はファミリーコンサート風の作りで、舞台にも高校生だけでなく顧問などの教師や卒業生も大勢メンバーに加わって、いかにも和気藹々としたステージだった。客席には近隣の子ども連れと思しき家族もいれば、春日丘高校の生徒が部活帰りのジャージ姿のまま大勢来ていたりと、ほんわかした雰囲気だった。

とはいっても、無料イベントの割に客席は6割程度の埋まり方で、やや寂しい感じがした。高校生の音楽活動は地道なもので、プロ団体のような宣伝もできないし、口コミで集客するのも限度がある。高校生の家族がもし全員聴きにきたとしても、満席にはならない。そこは若い学生たちの集客の工夫が必要不可欠だ。

それでも、さすが大阪府立高校の中で入試倍率1、2を争う高校だけあって、今時の十代らしくインスタグラム(十代の子らは本当はTikTokがメインなのかも?)を駆使して、吹奏楽部のメンバー総動員で宣伝動画を流していた。それも、動画編集を工夫して、さまざまに趣向を凝らした宣伝動画になっていた。集客に苦労しているように見えるのは、おそらくインスタグラムを見る層と、吹奏楽の演奏会を聴きに来る客層がうまくマッチしていないのかもしれない。

そもそもが大阪府立の高校は以前に比べて激減しており、府の方針が変わらない限りもっと減らされることになっている。大阪府立の中でも人気が高い春日丘高校は統廃合されることはないだろうが、生徒数(子どもの数そのもの)が年々、急激に減っていく以上、吹奏楽部のメンバーも人数を単純に増やすことはなかなか難しいかもしれない。ましてや、大きなホールを満席にするというような集客は、これからはもっとハードルが上がるだろうと予想できる。

12月下旬のクリスマス・ファミリーコンサートという位置付けのこの演奏会が、これからも地元に定着し、愛されるイベントとして残っていくことを願ってやまない。

ちなみに、来年3月30日に、新市民会館である「おにクル」のホールで、春日丘高校吹奏楽部の定期演奏会があるが、こちらはなんと50回目! 先月には創部60周年の記念演奏会があったばかりだが、わが母校ながら歴史の重みを実感するイベントが続くのは、実に嬉しいことだ。

 

※春日丘高校吹奏楽部創部60周年記念演奏会について

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12874769066.html

 

自分自身が春日丘高生で吹奏楽部の部長だった時、第9回の定期演奏会をやったのだが、あの当時もやはり集客やら予算獲得やらで駆け回っていたことを懐かしく思い出す。

今回の「パラダイスコンサート」演奏会後のロビーで、吹奏楽部のおそらくは部長や副部長などの幹部と思しき生徒さんたちが、後片付けに走り回っていた。昔も今も、高校生の自主的な演奏会の裏方は人知れぬ苦労をしているのだろうと想像した。それだけに、演奏会が無事に終わると大きな達成感を味わったはずだ。さまざまに大きなイベントが流行る昨今だが、イベントの祝祭的な空気を下支えしているスタッフたちの地道な努力に、改めて敬意を表したい。

 

※参考記事

「大阪府立高校の吹奏楽部の演奏会がこんなに変わった?それとも変わってない?〜大阪府立池田高校吹奏楽部定期演奏会」

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12851214037.html

 

 

※土居豊の吹奏楽関連の小説

(1)

『サマータイム、ウィンターソング&モア』1巻

(土居豊  作)

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『サマータイム、ウィンターソング&モア パート2』

(土居豊 作)

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《本作では、上記ブログに書いたような、吹奏楽部の幹部、部長・副部長・学生指揮者などの地道な活動に焦点を当てた、縁の下の力持ち的な高校生の青春を描きました》

 

(立命館いばらき、12月の桜の狂い咲き? それとも寒桜?)