レ・ヴァン・フランセ演奏会と、エマニュエル・パユ公開レッスン | 作家・土居豊の批評 その他の文章

レ・ヴァン・フランセ演奏会と、エマニュエル・パユ公開レッスン

木管5重奏として世界の頂点に立つこのアンサンブルは、フルートのエマニュエル・パユ以下錚々たるメンバーで、フランス室内楽の魅力を満喫させてくれた。
ザ・シンフォニーホールをほぼ満席に埋めた聴衆は、音楽学生が多いのはもちろんだが、クラシックの玄人といった感じの年配の方がたくさんいて、落ち着いて音楽にひたれる雰囲気だった。
曲目は、プーランク、モーツアルトの定番に、テュイレ、タファネル、ジョリヴェという専門的な名前が並ぶ。しかし、聴いてみると、どれもいかにも軽妙洒脱で歌心あふれた曲ばかり。また、ジョリヴェは現代の作曲家らしく、斬新な音作りに魅力があった。
なにしろ、奏者たちがみな世界的ソリストで、それぞれにハンサムガイなので、女性ファンがたくさん来ているようだった。最前列に振袖姿のお嬢さんコンビががんばっていて、曲に合わせて頭を振るものだから、髪飾りの動きが妙に気になった。しかし、格好は目立っていたものの、きちんと鑑賞してらっしゃったので、結構なことだった。
ちなみに、そのあと、知り合いの音大生がフルートのパユの公開レッスンを受けることになっていて、そっちにも顔を出した。コンサートは3時からで、レッスンのほうは7時。十分余裕があるから、ゆっくり夕食を楽しんでから行こうなどと、たかをくくっていたら、コンサートは結構長くかかって、おまけにアンコールも2曲。ぎりぎりにダッシュして、レッスンに滑り込んだ。もっとも、レッスンするはずのパユ氏が、ぎりぎりまでコンサートに出演しているのだ。仕方がない。それにしても、6曲も演奏して、その直後に別の会場で公開レッスンとは、さすが世界のトップ・プレーヤーは体力が違う。
10月22日