モール恐るべし | 作家・土居豊の批評 その他の文章

モール恐るべし

タイトルを読んで、エピソード1のダース・モールの話だと勘違いしないでいただきたい。なに、そんなキャラはとっくに忘れていた? そうかもしれない。なんとなく、SWサガの悪役の中では影の薄い存在だった。
それはともかく、今回は何のことかというと、ショッピングモールは馬鹿にできない、という話である。
村上春樹の新作に、ショッピングモールの中にある居心地のいい喫茶店というのが出てくる。そんなものは、現実にまずお目にかかれないが、モールの書店、これはあなどれないのだ。
息子に買って読んでやろうとして、ある絵本を探していた。地元の図書館にシリーズがそろっていて、息子がすっかり気に入っているのだが、けっこう人気の本で、なかなか借りられない。そこで、いっそ買ってやろうと思ったのだ。なかがわみちこさんの絵本「パオちゃん」シリーズだが、ご存知?
さて、これがなかなか手に入らない。似たようなシリーズのノンタンものはけっこうあるのだが。
大阪市内の大手書店の児童書売り場を軒並み探し、東京でキノクニヤにも探しに行った。神保町で、児童書専門のみわ書店にまで行ったが、見つからない。
もちろん、パオちゃんの本の何冊かはあるのだが、息子が読みたがっている肝心の一冊が手に入らないのだ。
あきらめて、また図書館で順番を待つか、そう思っていたら、あったのだ。
ぶらりと買い物に家族で入った大型ショッピングモールの、だだっ広い書店に、ちゃんと児童書コーナーがあり、絵本がずらりと並んでいる。その中に、息子の探していた絵本が並んでいた。
いやいや、餅は餅屋というか、やはり子供が集まるところでは、子供のニーズに応える商売が行われていたのだ。
大手書店も、児童書の様々なキャラクターグッズを売ったりするより、ちゃんと絵本そのものの品揃えを充実させていただきたい。
ちなみに、せっかく買ったその絵本だが、息子の中ではもはやブームは去っていたらしく、一応喜んで読んではいたが、今度は別の絵本が欲しいようだった。
9月24日