台風とその余波・続 | 作家・土居豊の批評 その他の文章

台風とその余波・続

前回の続きだが、妙なオチがついた。
旅行をキャンセルして、今日はのんびり買い物をした。夜、くつろいでいると電話だ。「はい」「もしもし、こちら奥琵琶湖にあります~ホテルですが」「は?」
さっそく何だろう?それにこの声、確か昨日の親切な女性フロント係だ。
「今日のご宿泊は、ご到着は何時くらいになるでしょうか」「は?」
何か重大なミスをしたのだろうか?
「あの、昨日、キャンセルしたはずなんですが」「え?」
今度は向こうがしばし沈黙した。
「ええっと、そうでございますか。あの、それは何時ころのことでしょう?」
何時もなにも、あんたが電話受けたんだろうが! しかし、あえてそれは言わず、繰り返しキャンセルした時間や事情を話した。
「そうでございますか。それでしたら結構でございます」
あたふたした気配が、受話器からリアルに伝わってくる。
それにしても、のんきというか、まぬけというか。「ご到着は何時」だなんて、夜の7時に家にまだいること自体、おかしいじゃないか。まさか食事の準備も整っていたのだろうか。哀れというか、気の毒というか。
それでもまあ、好感のもてる抜け方ではあった。しかし、待てよ。明日また電話かかってこないだろうな。「ご連絡なしにキャンセルなさったので、料金を・・・」なあんて、まさかね。
8月25日