台風とその余波 | 作家・土居豊の批評 その他の文章

台風とその余波

などと大げさなタイトルをつけたが、ようするに旅行をキャンセルした話である。奥琵琶湖のリゾートホテルに、某旅行社を通じて予約していた。ところが、台風が日に日に迫ってきて、ちょうど旅行当日に上陸してくるという。
迷ったあげく、キャンセルすることにした。まずは某旅行社に電話する。対応した若い女の社員は、非常にてきぱきしていたのはいいのだが、こちらがキャンセルのことを相談しようとすると、あっさりと「出発~日前ですので、キャンセル料はこれこれです」という。まあ、マニュアル通りの対応なのだろう。
しかし、今回、台風が迫ってきているのをまさか知らないわけでもないだろうし、直前のキャンセルには事情がつきものなのだから、もうちょっと、なんとかならないものか。まるで待ってましたとばかり、キャンセル料の話をされて、誠に不愉快だった。それでなくても、楽しみにしていた旅行を中止するので気分が塞いでいるのに、少しは同情してもいいのではないか。
それにひきかえ、当のリゾートホテルは見事なホスピタリティだった。こちらの説明にきちんと耳を貸してくれたばかりか、本来かかるはずのキャンセル料を、事情を察して免除してくれたのである。やはり、これは、接客業と仲介業者の差というものだ。今度からは、できるだけ旅行社を通さずに予約しようと心に決めた。
旅行は、安いにこしたことはないが、業者を通して安くなるプランには、必ず落とし穴がある。それがわかっていながら、ついつい安さに目がくらんでそちらを選んでしまう。でも、旅行は金がかかって当然と思えば、せっかく行くのだから、なるべく不愉快な思いをしないように方法を選んだほうがよい。
ともあれ、その旅行社はもう使うまい、ということと、そのホテルに必ず次は泊まろう、と二つのことを誓ったのであった。
8月24日