これは戦争か? | 作家・土居豊の批評 その他の文章

これは戦争か?

引き続き、ロンドンのテロのことを。
新聞の論調は、ほぼ予想通りだった。しかし、常識的にテロを非難しつつも、気になる両極端の意見が目についた。
かたや、ますます対テロ戦の結束を! かたや、テロの原因をなくすように、という二つである。
どちらの意見も、日本がその気になれば責務を担えるということを、本当にわかったうえで、覚悟して書いているとは思えなかった。
対テロ戦に参加しているというなら、自衛隊の人道支援からさらに踏み込んで、アフガンでのアルカイダ掃討作戦への参加など、はたしてやる気はあるのか。
テロの原因をなくせ、というなら、貧しい国々に更なる無償援助をし、移民をどんどん受け入れて平等に職を与える、というようなことを、本当にやるつもりなのか。
日本が、先進国でありながら、宗教的、人種的、地政学的、歴史的に、良くも悪くも辺境の国だったがために、かろうじて直接のテロ攻撃の対象になりにくい、ということを、素直に感謝するべきではなかろうか。東京の地下鉄やバスでいつ爆弾が爆発してもおかしくはない。いや、すでに爆弾どころか、サリンがまかれたではないか。それでも、近隣の国にはいざしらず、アルカイダにとっては、日本は遠い国なのだと思いたい。
7月8日