銀座にて | 作家・土居豊の批評 その他の文章

銀座にて

このところ、ずっと東京にいるが、銀座にいると、やはり世界中の富の集中する中心地の一つにいるのだと実感する。秋葉原は今、流行の先端かもしれないが、それは、電脳世界の中心ではあっても、実際には、商売繁盛している市場の一つでしかないように見える。そこには、欲望と商魂が渦巻いている。話題のメイド喫茶に足を運んでみたが、まさしく消費文化の爛熟の象徴といえよう。けれど、そこに集まる男たちは、メイドたちを召使として扱うのではなく、まるで女王さまのようにチヤホヤしている。メイドが女王さま扱い、という究極の倒錯が、そこにあるようにみえた。
銀座では、もう少し成熟した文化が、少なくとも100年受け継がれてきているように思える。たまには爛熟もいいが、落ち着いた大人の楽しみというものも、大切なのだ。
そんなことを、えらそうに書きながら、メイド服のロングスカートとミニスカートの違いやら、猫耳のことやら、話を聞いているだけで面白かったのは事実である。
6月8日