書評 | 作家・土居豊の批評 その他の文章

書評

どのようなご縁か、日刊ゲンダイの書評で、私の小説『トリオ・ソナタ』が取り上げられている。webのブックレビューコーナーで検索したら出てきた。なんだか、別の人が書いた小説みたいに思えて、なるほど、こういう紹介の仕方もあるか、と感心してしまった。
昨今、本、特に小説は、大手の書評に取り上げられるかどうかで、売れ行きが決まる。それどころか、書店の棚に並ぶかどうかもそれに大きく左右される。大阪市内の某書店など、露骨にそんな並べ方をする。毎週日曜日に新聞各紙の書評欄をコピーして、書棚に張り出し、そこに紹介されている本を並べている。
別に悪いことではないが、大手書店がみなこんなやり方をすると、新聞書評が選ばない本は、本屋に並ばなくなってしまい、どこの本屋でも同じように話題の本ばかりある、ということになりかねない。いや、すでにそうなってきている。
そんなわけで、本屋ももっとちゃんと本を選んで売ってほしい。しかし、自分も売り手である悲しさ。つい、はやく大手の新聞書評で取り上げられたい、と切望してしまうのである。
だから、日刊ゲンダイが私の本を選んでくれたのがまことにうれしいのである。
6月5日