作家であること | 作家・土居豊の批評 その他の文章

作家であること

それにしても、世間には数限りない作家たちが生息しているというのに、町を歩いていても、たとえすれちがってもそれとはわからない。今日は髪を切りに行き、新顔の美容師のあんちゃんとしゃべった。私が作家だというと、「ぼくも、昔は漫画とか描きました」ときた。
まあ、作家も漫画家も、今のあんちゃんたちには同じかな。別に区別する必要はないが。しかし、よく、漫画家の方々は、自分を卑下なさって、サブカルチャーとあえておっしゃるが、昨今、世界に通用する日本文化の代表は、マンガではないか。私は全くのマンガアニメ世代なので、漫画家がうらやましい。
小説の存在意義は、世間では下落の一途だ。しかし、ここで声を大にして言う。「のだめカンタービレ」を読むより、私の「トリオ・ソナタ」を読め!
などと息巻いているふりをして、作者は「のだめ」最新刊をさっそく読んで、また一巻から読み返しているのだから、いいかげんなものである。
5月15日