十数年ぶりに、大阪府吹奏楽コンクール北摂大会を観に行った | 作家・土居豊の批評 その他の文章

十数年ぶりに、大阪府吹奏楽コンクール北摂大会を観に行った

十数年ぶりに、大阪府吹奏楽コンクール北摂大会を観に行った。

 

 

 

 

結果は、自分の母校と、子どもの行ってる高校がどっちも代表の金賞で、嬉しかった。さて、府大会では、どちらを応援するべきか。

 

会場が自宅の近くだったので、ホールから出たり入ったりしていたので、全部は聴けなかったのだが、演奏を聴いた中から、主な学校の感想を書いておく。

 

 

 

 

 

まず、母校の春日丘高校吹奏楽部

課題曲4とスパーク「ドラゴンの年」、かつて30年前、自分たちが高校生だった頃の演奏とは比較するのも愚かしいほど、技術が進化していた。

ところが、演奏の最後にパーカッションがスティックを飛ばして、会場の笑いを誘っていた。実は、自分たちが高校生だったときのコンクールと似たようなことをやらかしていて、思わず「これがDNAというものか?」と。伝統は守られてる?

結果は、代表金だった。

しかし、自分たちの頃、この高校は大阪府内で珍しく制服のない高校で、コンクールではいわゆる標準服として白シャツと黒いズボン、スカートというスタイルだったが、割と雑な着方をしていた記憶がある。

今の母校は、髪型は女子が全員、一つくくりで、きちんと白ブラウスに黒パンツに揃えて、なんとなく印象が地味だな、と感じた。高校生たちの服装については、あとで触れたい。

 

次に、宣真高校。

課題曲2と、「斐伊川に流るるクシナダ姫の涙」。なかなかの力演だった。

自由曲で、ピアノをフルートの生徒が弾いたのだが、途中で交代したのはびっくりした。どちらもフルートの生徒。おそらく、曲の半分だけでも自分の楽器を吹きたかったからだろうか。

 

金光大阪中学校高等学校。

課題曲3と、ハチャトリアン「交響曲3番 シンフォニー・ポエム」

この曲は、初めて聴いたが、実に吹奏楽向きの交響曲だと思った。大編成の大変な熱演で、これは間違いなく代表だ、と予想したが、代表は逃していて、残念だ。実に良い演奏だった。

 

池田高校は、代表で金賞。

課題曲4と、「キクロシス」(中橋愛生 作曲)

これは文句なしの怪演だった。演奏後の拍手がなかなかやまないぐらい、会場をわかせた。

この学校も、女子はみんな一つくくりだが、長髪男子のティンパニー奏者が、総髪でとてもかっこよかったのが印象に残る。女子が多い中、トランペットのトップ、トロンボーンのトップの男子が音量面でも目立っていた。

 

そして、

千里高校。

課題曲2と、チャンス「呪文と踊り」という、吹奏楽の古典曲。

昭和のブラバン部員だった私には「呪文と踊り」が、泣けてくるほど懐かしかった。やはり吹奏楽オリジナル曲は、和声進行がわかりやすく、リズムは変拍子っぽく、メロディーが泣き節じゃなきゃ!

どうも、ロートルの私には、昨今の吹奏楽曲の高度さについていけない。

ちなみに、使用楽器も、昨今よく見かける高そうな特殊楽器はなく、本来の吹奏楽楽器で使いやすそうなものばかり。なんとなく、ほっとする。

 

最後に、これは問題提起なのだが、

三島高校の演奏を聴きながら、実感したことがある。

課題曲1と、「海峡の護り」(片岡寛晶)という意欲的な選曲だった。しかし、いかにもトレーニング不足で、昔の公立学校のブラバンの音、という響きがした。簡単にいうと、不揃いで、個々の部員の差がはっきり聞こえてくるのだ。

だが、こんな欠点は、バンドでパートごとの奏法を統一すれば、解決するはずだ。しかし、それができない事情があるに違いない。

つまり、楽器ごとの専門トレーナーをどれだけ雇えるか?専門的な指導者を確保できるか?

この三島高校の演奏と、その前後の超ハイレベルの演奏を聴き比べて思うのは、吹奏楽コンクールのハンデのなさだ。同じ吹奏楽部といっても、楽器の値段から部員の人数、指導者の質や量まで、そのあまりの格差は異様だ。

考えるに、吹奏楽はもはや、コンクールではスポーツの大会並みに、ランク分けをしてハンデをつけるべきだ。楽器編成が違うバンドを同列に審査するのは無意味だと思うのだ。

 

ところで、今日、コンクールのステージを見ていて、すごく気になったのは、髪型だ。吹奏楽部の女子、なぜみんな、一つくくりの髪型なのか? 見た目が揃いすぎて、すごく不自然な感じがする。

 

もう一つ、

北摂大会のコンクール会場が、以前の吹田市メイシアターから豊中市文化芸術センターになったのは、昨年の大阪北部地震の被災が原因だ。メイシアターが再オープンしたら、また会場を戻すのだろうか。できれば、このまま豊中市のホールで開催してくれたらいいな、と地元民としては希望する。

この文化芸術センターは、阪急曽根駅すぐの立地で、伊丹空港に降りる飛行機が間近に見える、珍しいロケーションだ。だが、このホールのバルコニーからせっかく阪急電車が見えるし、空港に降りる飛行機も間近に見えるのに、バルコニーはいつも締切なのだ。

 

 

 

 

 

この見晴らしのいいバルコニーを活用しないのは、豊中市の不見識だと思う。ここに、ビヤガーデンかオープンカフェでも開けばいいのに。

全国広しといえども飛行機がこれほど近く見られるホールはないのだ。

 

 

 

※参考ブログ

 

藤岡幸夫指揮、大阪大学交響楽団演奏会を聴く

https://ameblo.jp/takashihara/entry-12429071589.html

 

 

※筆者の新作吹奏楽小説、連載開始!

8月から拙作小説『ウィ・ガット・サマータイム!』をノートで連載開始します

 

https://note.mu/doiyutaka/n/na3d66d6bf08c

 

https://note.mu/doiyutaka/n/n77deef34edc6