エア記事を書くライターの件、ライターと著者の差など、物書き裏話を少々 | 作家・土居豊の批評 その他の文章

エア記事を書くライターの件、ライターと著者の差など、物書き裏話を少々

エア記事を書くライターの件、ライターと著者の差など、物書き裏話を少々

 

以下の記事について、ツィッターでコメントを書いたところ、どんどんRTされていったので、こちらでも再掲します。


※<貧困高校生>ネットメディア誤報 「影響力」自覚を
毎日新聞 9月19日(月)
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6214948

 

 

上記の記事について、
10年ほど前、自分もライターをやってました。今ほど人材難ではなかった印象です。しかし、ウェブ媒体の仕事は単価がどんどん安くなり、本職ライターよりも小遣い稼ぎ感覚の素人をどんどん引き入れてました。結果、本職ライターが駆逐されてきたという流れだと思います。自分も、単価がどんどん安くなって利益が出ないので、ライター仕事の受注を基本、やめました。
ウェブ媒体などの文章で素人レベルの人が増えて、上記の貧困高校生記事のような、取材せずに創作して書いてしまうような、とんでもない記事も出てきたのでしょう。これは、発信元の会社がコストカットしすぎた、必然的な結果だと思います。
その反面、「ライター」という職業の響きは、まだ昔の輝きがあるのか、素人さん相手のいわゆる「ライター講座」は現在も盛んです。資格不要で稼げるイメージがあるのでしょうか。
しかしながら、ライター講座を受けてライター仕事をしても、まともに稼げる時代ではありません。イラストや写真の方がまだましだと思います。
私自身、ライター業から撤退して著者と講師で辛うじてやっている現状です。ちなみに、日本の出版やメディア業界は、ライターと著者をはっきり区別しています。残念ながら、以前、出版社の方々に直接言われました。「ライターは下請け、著者様はお得意先」と。
欧米におけるライターのイメージは、日本の業界にはなさそうです。もしライターを目指すなら、それを知っていた方が良いと思います。
蛇足ですが、欧米でいうライターと日本でいうライターのイメージの違いについて。英語の author(著者)が日本でいう作家に近いでしょう。英語の writer(作家)は、日本ではノンフィクション作家、雑誌などの書き手のイメージだと思います。英語の novelist(小説家)が、日本の作家に一番近い存在だろうという印象です。
ついでに、
フリーランスの物書きが子育て世帯を持つことについて。子育て中で定職ある人は創作活動のために辞めてはいけません。自作が大ヒットしなければ、たちまち金策に奔走するだけで手一杯になり、創作どころじゃなくなります。
昔の作家は、出版社が将来を見込んで援助してくれたらしいですが、今はそんなのおとぎ話。原稿料前借りなんて出来た昔の作家は、なんて恵まれていたのでしょう。今は前借りどころか、ギャラ未払いに怯える始末。入金確認するまでは安心できません。子育て中、毎月固定費が確実に出ていくが、ギャラ未払いだとたちまち貯金崩すかローンに頼るはめに。だからかつての子供手当は本当に助かりました。

 


以上、ライター業と作家(著者)の違いについてなど、あれこれ書きました。ご参考になれば幸いです。