清盛の夢見た神戸の港〜阪神淡路大震災18年目によせて | 作家・土居豊の批評 その他の文章

清盛の夢見た神戸の港〜阪神淡路大震災18年目によせて

清盛の夢見た神戸の港~阪神淡路大震災18年目によせて

昨年の大河ドラマ『平清盛』は、散々な悪評のうちに終わったが、私のみたところ、歴史ドラマとして非常に優れた作品だった。
その清盛が、平家の政権で実現を夢見た、神戸(福原)の海の都は、今は神戸市西部の工業地域の下にいまだ発掘されない遺跡のまま眠っている。
その清盛の夢を、現代に実現したような港湾都市・神戸。
しかし、その発展は、95年の阪神淡路大震災で、大きな試練にさらされた。
あれから18年、見た目は見事に復興をとげたようにみえる神戸だが、実際は、震災の被害から立ち直れないまま、忘れ去られようとしている人々が数多くいる。
また、震災復興の名目で建設された神戸空港も、その後の日本経済の凋落とともに、空港として伸び悩んだままだ。
震災後、被害者救済そっちのけで空港建設に大金が投入された、という恨みも、いまだ生々しく残っているようにみえる。
それはさておき、神戸市の今の姿は、貿易立国で国を支えることの難しさを象徴している。
写真のように、元々の神戸市の市域は、六甲山麓の狭い地域だったが、今は海を越えて、人工島のポートアイランド、六甲アイランドへと、海上都市として拡大し続けている。

作家・文芸レクチャラー土居豊ブログ「震災後の文学・芸術」

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今のこの海上都市の姿を、清盛がみれば、さぞ喜んだだろう。
なにしろ、幻の福原京の港、大輪田泊のため、人工島の経が島を埋め立てたのは、清盛その人だったのだ。
そうはいっても、ポートアイランドの茫漠たる空き地が、神戸空港まで延々と続き、神戸空港に数少ない発着機がぽつんと寂しく停まっているのをみると、なかなか前途は多難だな、と思える。
願わくば、清盛の夢の実現として、海上都市、神戸が、21世紀の貿易立国の成功例として、復活することを期待している。
阪神淡路大震災から18年。今の神戸の姿が、東日本大震災からの復興を試みる日本社会にとっての希望となってほしいものだ。


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私の最新作『かぶろ 平家物語外伝1』は源平合戦を背景に清盛が組織した謎の少年スパイ組織「禿」の少年とのちの義経=牛若丸との友情を描いた伝奇ロマンです
大河ドラマでは、いまいちよくわからなかったかもしれない源平合戦の背景も、わかりやすく書いています。
清盛の影として歴史の裏で暗躍した少年スパイ=禿の生き様や、清盛を支えた平家の公達の活躍、そして平安末期の京都を舞台に繰り広げられる、あやかしたちの戦いを、ぜひ拙作でお楽しみください。

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