「川端康成 ノーベル賞選考で新資料(NHKニュース9月4日)」についてブログを書きました | 作家・土居豊の批評 その他の文章

「川端康成 ノーベル賞選考で新資料(NHKニュース9月4日)」についてブログを書きました


「川端康成 ノーベル賞選考で新資料(NHKニュース9月4日)」についてブログを書きました
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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120904/t10014755041000.html
《日本人として初めてノーベル文学賞を受賞した、小説家の川端康成が、受賞7年前の1961年にすでにノーベル賞の候補に選ばれていたことが、当時の選考資料から明らかになりました。(以下略)》



記事にあるように、川端の受賞の決めては、サイデンステッカーによる翻訳が海外で多く刊行されていたところにあるということです。
ただ、当時はすでに、日本の小説は海外で多く翻訳され、谷崎をはじめとして、三島由紀夫、遠藤周作、井上靖、安部公房など、欧米にも熱烈な読者がいる作家がいました。
実際、今回公開された資料によると、1958年、60年、61年と3回も、谷崎と詩人の西脇順三郎が、それぞれノーベル文学賞候補になっていたそうです。
その中で、なぜ川端だったのか?
受賞理由には、「日本文化」という点があがっていましたが、それだけでなく、やはり川端文学の耽美性と、前衛性に決めてがあったように思います。
川端は、新感覚派の旗手でしたが、20世紀文学の革新的な特徴である「意識の流れ」の手法を、早くから取り入れて、『水晶幻想』『みずうみ』といった前衛的な傑作を書きました。
戦後の川端作品だけを読んで、まるで「日本文化」だけの作家かと思いこんでいる読者もいるかもしれませんが、川端は、まぎれもなく、「20世紀の小説」を書いた作家だったのです。
だからこそ、いまだに欧米で愛読され、映画化されたりしているのだと思います。
さて、ニュースでも最後に触れていましたが、
今年のノーベル文学賞、村上春樹が選ばれるか?
オッズでは一位につけていますが、なんと、追撃するのがボブ・デュランというのは、実に楽しいですね!
『ジョン・レノン対火星人』(高橋源一郎)ならぬ、『ボブ・デュラン対村上春樹』というのも、また一興です。