計画停電の脅しは、どう考えても納得できない
計画停電の脅しは、どう考えても納得できない
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【「関西の電力制限回避、決定 4地域で計画停電準備 (日経新聞2012/5/18)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3EAE2E2E78DE3EAE2E7E0E2E3E09F9FE2E2E2E2
政府は18日午前のエネルギー・環境会議で今夏の電力需給の見通しと節電対策を正式決定した。電力需給が最も厳しい関西電力管内は15%の節電を求めるが、節電を強制する電力使用制限令は回避する。他の電力管内でも節電を要請する。関西、九州、四国、北海道の4電力管内では計画停電の準備を進める。小口電力向けの取引市場を6月に創設することも決めた。
原子力発電所が再稼働しないことが前提で、その場合は関電管内は8月に14.9%の深刻な供給不足となる。だが企業などに政府が節電を強制する電力使用制限令の実施は見送る。関西地方の知事らでつくる関西広域連合側が17日に「制限令は極力避ける」と求めたことに配慮した。
需給に比較的余裕のある中部、北陸、中国電力管内にも5%の節電を求め、関西に融通する。九州電力管内の節電要請は10%とする。四国には7%の節電を求め、需給に余裕が生まれた場合は関西に融通する。(以下略)】
この夏は、関東、東北以外の地方が、節電と計画停電の予定だとか。
そもそも、この事態をまねいたのは、東京電力の福島原発事故だ。
それなのに、なぜ関東と東北の電力が足りていて、それ以外の地域が電力不足なのか?
素朴に考えて、まったく腑に落ちない。
もちろん、この話の筋は、理解している。
つまり、原発が全て停止しているので、日本中の電力が足りない、だから早く原発を動かせ!
というストーリーだ。
なにしろ、政治家は、「原発がなければ日本は集団自殺」とまで言い切ったのだ。いままさに、「集団自殺」に追い込むべく、停電で脅しをかけているわけだろう。
実にわかりやすいストーリーを考えたものだ。
だが、納得はできない。
原発を動かすか、否か、という大問題をひとまず置いて、純粋に、国の、政府の責任と、電力会社の責任を考えてみよう。
国は、いくら原発が停止していようとも、国民にエネルギーを提供する義務がある。
その義務を実際に果たすのが、政府の委託を受けた電力会社だ。
だから、たとえ原発があろうがなかろうが、国にも、電力会社にも、停電をすることなく、エネルギーを供給する責任があるのだ。
そのために、国民は、世界一高い電気料金を払ってきたのだ。
たとえば、今の状態は、原発が定期点検中のものと、点検が済んだけれど安全が保証されていないものとを合わせて、全て停止している状態だ。
だが、もしこれが、福島原発以外に、別の原発事故が起きた状態だとしたら、どうだろう?
大きな事故でなくてもいい。少しの事故でも、原発は点検のために停止するはずだ。
そういう状態でも、国にも、電力会社にも、エネルギーを供給する責任はあるわけだ。
だから、国も、電力会社も、原発を動かせ動かせの一点張りではなく、もし全ての原発が動かせない状態(まさに今がそうだが)になっても、他の手段で、エネルギーを提供できる選択肢を確保しておかなければならないわけだ。
いまはまだ、「計画」停電の選択肢も考えられる事態だが、もしこれが、もっと大掛かりな原発事故や、天災、戦争などであれば、「計画」停電する前にいきなり全ての原発が停止する可能性だって、ないとはいえない。
そういう事態にも、ちゃんと備えておくことを、政府は国民から求められるはずだ。
でなければ、かつての戦争中のように、「欲しがりません勝つまでは」の窮乏生活を、またしても国民に課すことになる。
そんな政府は、願い下げだ。
つまり、今、たまたま原発が全て停止していることを契機に、原発抜きでもエネルギーが供給できる多重な仕組みを作っていくことが必要なのだと考える。
たとえ、この夏は、計画停電でしのがなければならないとしても、それならそれで、負担は全国一律にかぶるべきだ。なぜ関東、東北は停電しないのか?
まさか、3.11の被災地だからなのか?
いや、これは思わず筆が滑った。
もちろん、3.11の復興のために電力が不可欠なのは、理解している。
けれど、そのために地方を停電させるというわけでもあるまい。
今の政府の最大の罪は、このように、日本の各地を、精神的に分断していることだ。
3.11の直後、日本中が心を一つにしたはずだ。
ところが、今の政府は、被災地の復旧をありえないほど遅らせて、まず東北を日本から分断した。次に、計画停電で、東京23区以外の関東を切り離し、今度は関西、西日本、北海道を、計画停電の脅しで、首都圏から切り離そうとしている。さらに、基地問題では沖縄を切り捨てている。
今の政府のやり口は、あからさまな恫喝だ。
エネルギーが欲しければ、政府のいうことを聞け、というのがみえみえだ。
本当は、話が逆で、当然の責務である災害復興と原発事故対応、エネルギー政策に失敗した今の政府は、責任をとって辞めてもらわなければならないのだ。
というわけで、この夏、もし計画停電があるというなら、夏の間、涼しい地方に避難するか、あるいはバッテリーでも買っておくか、太陽光発電でも準備するか、個人としてできる国家権力の横暴への対抗策を考えている。
【「関西の電力制限回避、決定 4地域で計画停電準備 (日経新聞2012/5/18)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3EAE2E2E78DE3EAE2E7E0E2E3E09F9FE2E2E2E2
政府は18日午前のエネルギー・環境会議で今夏の電力需給の見通しと節電対策を正式決定した。電力需給が最も厳しい関西電力管内は15%の節電を求めるが、節電を強制する電力使用制限令は回避する。他の電力管内でも節電を要請する。関西、九州、四国、北海道の4電力管内では計画停電の準備を進める。小口電力向けの取引市場を6月に創設することも決めた。
原子力発電所が再稼働しないことが前提で、その場合は関電管内は8月に14.9%の深刻な供給不足となる。だが企業などに政府が節電を強制する電力使用制限令の実施は見送る。関西地方の知事らでつくる関西広域連合側が17日に「制限令は極力避ける」と求めたことに配慮した。
需給に比較的余裕のある中部、北陸、中国電力管内にも5%の節電を求め、関西に融通する。九州電力管内の節電要請は10%とする。四国には7%の節電を求め、需給に余裕が生まれた場合は関西に融通する。(以下略)】
この夏は、関東、東北以外の地方が、節電と計画停電の予定だとか。
そもそも、この事態をまねいたのは、東京電力の福島原発事故だ。
それなのに、なぜ関東と東北の電力が足りていて、それ以外の地域が電力不足なのか?
素朴に考えて、まったく腑に落ちない。
もちろん、この話の筋は、理解している。
つまり、原発が全て停止しているので、日本中の電力が足りない、だから早く原発を動かせ!
というストーリーだ。
なにしろ、政治家は、「原発がなければ日本は集団自殺」とまで言い切ったのだ。いままさに、「集団自殺」に追い込むべく、停電で脅しをかけているわけだろう。
実にわかりやすいストーリーを考えたものだ。
だが、納得はできない。
原発を動かすか、否か、という大問題をひとまず置いて、純粋に、国の、政府の責任と、電力会社の責任を考えてみよう。
国は、いくら原発が停止していようとも、国民にエネルギーを提供する義務がある。
その義務を実際に果たすのが、政府の委託を受けた電力会社だ。
だから、たとえ原発があろうがなかろうが、国にも、電力会社にも、停電をすることなく、エネルギーを供給する責任があるのだ。
そのために、国民は、世界一高い電気料金を払ってきたのだ。
たとえば、今の状態は、原発が定期点検中のものと、点検が済んだけれど安全が保証されていないものとを合わせて、全て停止している状態だ。
だが、もしこれが、福島原発以外に、別の原発事故が起きた状態だとしたら、どうだろう?
大きな事故でなくてもいい。少しの事故でも、原発は点検のために停止するはずだ。
そういう状態でも、国にも、電力会社にも、エネルギーを供給する責任はあるわけだ。
だから、国も、電力会社も、原発を動かせ動かせの一点張りではなく、もし全ての原発が動かせない状態(まさに今がそうだが)になっても、他の手段で、エネルギーを提供できる選択肢を確保しておかなければならないわけだ。
いまはまだ、「計画」停電の選択肢も考えられる事態だが、もしこれが、もっと大掛かりな原発事故や、天災、戦争などであれば、「計画」停電する前にいきなり全ての原発が停止する可能性だって、ないとはいえない。
そういう事態にも、ちゃんと備えておくことを、政府は国民から求められるはずだ。
でなければ、かつての戦争中のように、「欲しがりません勝つまでは」の窮乏生活を、またしても国民に課すことになる。
そんな政府は、願い下げだ。
つまり、今、たまたま原発が全て停止していることを契機に、原発抜きでもエネルギーが供給できる多重な仕組みを作っていくことが必要なのだと考える。
たとえ、この夏は、計画停電でしのがなければならないとしても、それならそれで、負担は全国一律にかぶるべきだ。なぜ関東、東北は停電しないのか?
まさか、3.11の被災地だからなのか?
いや、これは思わず筆が滑った。
もちろん、3.11の復興のために電力が不可欠なのは、理解している。
けれど、そのために地方を停電させるというわけでもあるまい。
今の政府の最大の罪は、このように、日本の各地を、精神的に分断していることだ。
3.11の直後、日本中が心を一つにしたはずだ。
ところが、今の政府は、被災地の復旧をありえないほど遅らせて、まず東北を日本から分断した。次に、計画停電で、東京23区以外の関東を切り離し、今度は関西、西日本、北海道を、計画停電の脅しで、首都圏から切り離そうとしている。さらに、基地問題では沖縄を切り捨てている。
今の政府のやり口は、あからさまな恫喝だ。
エネルギーが欲しければ、政府のいうことを聞け、というのがみえみえだ。
本当は、話が逆で、当然の責務である災害復興と原発事故対応、エネルギー政策に失敗した今の政府は、責任をとって辞めてもらわなければならないのだ。
というわけで、この夏、もし計画停電があるというなら、夏の間、涼しい地方に避難するか、あるいはバッテリーでも買っておくか、太陽光発電でも準備するか、個人としてできる国家権力の横暴への対抗策を考えている。