国の教育制度をむやみにいじるのは百害あって一利なし
国の教育制度をむやみにいじるのは百害あって一利なし
【大学統廃合を推進=「6・3・3制」見直しも―国家戦略会議
(時事2012/04/09)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012040900850
政府の国家戦略会議(議長・野田佳彦首相)は9日、首相官邸で会合を開き、教育制度の抜本改革について議論した。長谷川閑史経済同友会代表幹事ら民間議員が大学の統廃合推進や現行の小学校6年、中学・高校各3年の「6・3・3制」見直しなどを提言した。野田首相は社会構造の変化を踏まえた教育改革に取り組むよう指示、平野博文文部科学相が5月の戦略会議までに報告をまとめる。
大学改革では、大学数が大幅に増加する一方、定員割れの大学も増えており、統廃合を進めるよう求めた。具体的には国立大に対する運営費交付金や私学助成の配分にめりはりをつける。私大については今年度中に第三者の評価による配分基準を設ける。
一方、6・3・3制を通じて十分な学力を身に付けずに中学校、高校へ進学することが不登校や中途退学の一因になっていると指摘。小中・中高の一体教育を進めるため中高一貫校などを増やすべきだとした。】
こういう、思いつきのような教育改革で、公教育の制度をあれこれいじるのは、基本的に反対である。
そもそも、公教育には、学習指導要領というものがあり、定期的に更新される。
ところが、この更新のたびに、ろくでもない結果を招いてきたのは、いまや歴史が証明している。
私自身、1982年に改訂された指導要領で、学習内容を減らされた世代にあたる。ちょうど制度の変わり目に高校生だったため、教師の方も試行錯誤で、授業全般は、旧指導要領を基本的に踏襲していたように思う。
結果的には、学習内容を減らした学習指導要領は、若者の学力低下をまねいただけで、特に大阪では、公立高校の凋落と私学の優位がますます際立つようになった。
世代的には、たまたまその指導要領にあたっただけなのに、「新人類」などと揶揄され、大いに迷惑だった。
その後の、「ゆとり教育」の顛末は、もはや功罪明らかだろう。あの指導要領で公教育を受けた世代も、彼らのせいではないのに、「ゆとり世代」などとことあるごとにこきおろされ、とても気の毒だった。
公教育の場合、「基本重視」というのが第一なのは、間違いない。
その時々の国や地方の政策で、子どもの教育方針をころころ変えられては、その子どもたちがもっとも困ることになる。
「国際化」と唱えながら、結局は英会話力も英語のリテラシーも中途半端な形でしか学べなかったり、「情報化」といいながら、一昔前の古いパソコン常識で教えられて結局一から最新のスキルを学び直すことになったり、と、「時代の要請」などに振り回されると、ろくなことにならない。
ともかく、公教育を思いつきでいじるのは、百害あって一利なし、だ。特に、今の政府の面々にだけは、教育を変えてほしくない。失敗続きの政権に、我が子の未来を託す気にはならない。
だからといって、大阪維新の会の教育基本条例のように、市場原理で子どもの教育を好き勝手されても困るのだ。
以下の記事でも取り上げられているように、今回の指導要領改訂では、武道とダンスの必修化があり、中学校の現場が困り果てているようだが、ほんとに困るのは子どもの方なのだ。
※参考記事
【中学校でも新指導要領、どう変わるの?(産経2012.4.5)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120406/edc12040616010002-n1.htm
いよいよ新学期です。2011(平成23)年度の小学校に引き続き、中学校でも新しい学習指導要領が全面的に実施されます。何がどう変わるのでしょうか。整理しておきましょう。
新指導要領の下では、標準授業時数が各学年で年間35時間(週1コマ分)増えて各学年1,015時間になります。ただ、これはあくまで指導要領上の「標準」であって、実際には2011(平成23)年度の段階で、半数の学校が1・2年生で年間1,015時間以上の授業時数を実施していました。ですから、学校や学年によっては必ずしも増えた感じがしないかもしれません。
(中略)
また体育では、武道の必修化が安全面の問題から論議になっていますが、これも以前の記事の中でお伝えしましたように、ダンスも必修化されます。これにより1・2年生では、性別を問わずダンスをすることになります。といってもヒップホップなど今風のダンスを取り入れる学校も少なくないようですから、男子が嫌がるとは限らないかもしれませんね。】
【大学統廃合を推進=「6・3・3制」見直しも―国家戦略会議
(時事2012/04/09)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012040900850
政府の国家戦略会議(議長・野田佳彦首相)は9日、首相官邸で会合を開き、教育制度の抜本改革について議論した。長谷川閑史経済同友会代表幹事ら民間議員が大学の統廃合推進や現行の小学校6年、中学・高校各3年の「6・3・3制」見直しなどを提言した。野田首相は社会構造の変化を踏まえた教育改革に取り組むよう指示、平野博文文部科学相が5月の戦略会議までに報告をまとめる。
大学改革では、大学数が大幅に増加する一方、定員割れの大学も増えており、統廃合を進めるよう求めた。具体的には国立大に対する運営費交付金や私学助成の配分にめりはりをつける。私大については今年度中に第三者の評価による配分基準を設ける。
一方、6・3・3制を通じて十分な学力を身に付けずに中学校、高校へ進学することが不登校や中途退学の一因になっていると指摘。小中・中高の一体教育を進めるため中高一貫校などを増やすべきだとした。】
こういう、思いつきのような教育改革で、公教育の制度をあれこれいじるのは、基本的に反対である。
そもそも、公教育には、学習指導要領というものがあり、定期的に更新される。
ところが、この更新のたびに、ろくでもない結果を招いてきたのは、いまや歴史が証明している。
私自身、1982年に改訂された指導要領で、学習内容を減らされた世代にあたる。ちょうど制度の変わり目に高校生だったため、教師の方も試行錯誤で、授業全般は、旧指導要領を基本的に踏襲していたように思う。
結果的には、学習内容を減らした学習指導要領は、若者の学力低下をまねいただけで、特に大阪では、公立高校の凋落と私学の優位がますます際立つようになった。
世代的には、たまたまその指導要領にあたっただけなのに、「新人類」などと揶揄され、大いに迷惑だった。
その後の、「ゆとり教育」の顛末は、もはや功罪明らかだろう。あの指導要領で公教育を受けた世代も、彼らのせいではないのに、「ゆとり世代」などとことあるごとにこきおろされ、とても気の毒だった。
公教育の場合、「基本重視」というのが第一なのは、間違いない。
その時々の国や地方の政策で、子どもの教育方針をころころ変えられては、その子どもたちがもっとも困ることになる。
「国際化」と唱えながら、結局は英会話力も英語のリテラシーも中途半端な形でしか学べなかったり、「情報化」といいながら、一昔前の古いパソコン常識で教えられて結局一から最新のスキルを学び直すことになったり、と、「時代の要請」などに振り回されると、ろくなことにならない。
ともかく、公教育を思いつきでいじるのは、百害あって一利なし、だ。特に、今の政府の面々にだけは、教育を変えてほしくない。失敗続きの政権に、我が子の未来を託す気にはならない。
だからといって、大阪維新の会の教育基本条例のように、市場原理で子どもの教育を好き勝手されても困るのだ。
以下の記事でも取り上げられているように、今回の指導要領改訂では、武道とダンスの必修化があり、中学校の現場が困り果てているようだが、ほんとに困るのは子どもの方なのだ。
※参考記事
【中学校でも新指導要領、どう変わるの?(産経2012.4.5)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120406/edc12040616010002-n1.htm
いよいよ新学期です。2011(平成23)年度の小学校に引き続き、中学校でも新しい学習指導要領が全面的に実施されます。何がどう変わるのでしょうか。整理しておきましょう。
新指導要領の下では、標準授業時数が各学年で年間35時間(週1コマ分)増えて各学年1,015時間になります。ただ、これはあくまで指導要領上の「標準」であって、実際には2011(平成23)年度の段階で、半数の学校が1・2年生で年間1,015時間以上の授業時数を実施していました。ですから、学校や学年によっては必ずしも増えた感じがしないかもしれません。
(中略)
また体育では、武道の必修化が安全面の問題から論議になっていますが、これも以前の記事の中でお伝えしましたように、ダンスも必修化されます。これにより1・2年生では、性別を問わずダンスをすることになります。といってもヒップホップなど今風のダンスを取り入れる学校も少なくないようですから、男子が嫌がるとは限らないかもしれませんね。】