「燃料溶融 廃炉には厳しい課題 - NHK」のニュースについて | 作家・土居豊の批評 その他の文章

「燃料溶融 廃炉には厳しい課題 - NHK」のニュースについて

「燃料溶融 廃炉には厳しい課題 - NHK」のニュースについてブログを書きました→
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111201/t10014325321000.html

福島原発事故の核燃料メルトスルーについての、今回のNHKニュースで印象的だったのは、水野解説員の率直な危機感の表明です。311直後に、この人は正直な解説をして一時干されたことがあったらしい。ニュースは常に真実を伝えてほしいものです。

しかし、そうはいっても、今回の報道では、 NHKにしてはかなり率直に危機感を語っていましたね。
要点を整理すると、

「1号機では、最悪の場合、溶け落ちた燃料のすべてが原子炉の底を突き破り、格納容器に落下して、格納容器の底にあるコンクリートを溶かし、65センチの深さまで浸食したと推定」している。これは、メルトスルーした核燃料が圧力容器の底を抜け落ちて、格納容器の底を溶かしながら、じりじりと地下に落ちていっている、ということでしょう。
しかも、

「コンクリートは最も薄いところでは、格納容器の鋼板まで37センチしかない」ということで、あと37センチ、コンクリートを溶かせば、鋼板に接触し、さらにその下の地下に出てしまう、ということでしょう。
けれど、

「東京電力は、格納容器の底には水がたまり、燃料は冷やされているので、コンクリートの浸食は止まっていて、年内を目標にしている原子炉周辺の温度が100度を安定して下回る「冷温停止状態」の達成に影響はないと説明」しているそうです。
これは、地下にある核燃料に地上から水をかけている限り、冷やせるので安全だという意味でしょう。
しかし、当然の疑問ですが、事故当初からずっと水をかけ続けているのに、核燃料はここまでコンクリートを溶かして落っこち続けているわけで、今後も同じように溶け落ち続けるのでは?と疑ってしまうのは、無理もないことでしょう。核燃料が完全に建物の底を溶かして、地下に抜け落ちたら、一体何が起きるのか?
そこを説明してから、「安全」だと言ってもらいたいものです。
結論として、

「今後の廃炉に向けて、格納容器の底にまで広がった燃料を取り出さなければならないという世界でも例がない厳しい課題を突きつけられた」のだということです。
世界でも例がない深刻な事故がまだ進行中だというのに、住民をその周辺に帰還させるという神経は、とうてい理解しかねます。

ちょっと余談ながら、核燃料がじわじわと地下に侵蝕していくイメージは、まさしくアニメ『エヴァ』の第五使徒ラミエルを髣髴とさせます。じわじわと地下を掘り進み、ジオフロントに侵攻してくる恐怖のイメージ。
そして、ついでながら、同じ日、イランの核施設が爆発、というニュースもありました。その後、真相は不明のまま…噂では攻撃による爆発炎上だとか。
http://www.youtube.com/watch?v=WjXsFq79FNk&feature=youtu.be

ほんとに、核事故の情報の隠匿ぶりは、まるでアニメ『エヴァ』のセカンドインパクトみたいな感じですね。
いよいよ加持さんの出番だな。

※注)加持→アニメ『エヴァンゲリオン』で活躍するスパイ。