年金支給開始年齢 引き上げ検討へ | 作家・土居豊の批評 その他の文章

年金支給開始年齢 引き上げ検討へ

逃げ水のような年金 68~70歳に引き上げ

【年金支給開始年齢 引き上げ検討へ(NHK10月9日 6時35分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111009/t10013143701000.html
厚生労働省は、年金の支給開始年齢について、急速に進む少子高齢化に対応するには、将来的に68歳から70歳程度へ引き上げることを視野に検討を進める必要があるとして、今週から本格的な議論を始める方針です。
年金の支給開始年齢を巡っては、厚生年金について、男性は2025年度、女性は2030年度までに段階的に65歳まで引き上げ、基礎年金と合わせることがすでに決まっています。これについて、厚生労働省は、急速に進む少子高齢化に対応するには、さらに68歳から70歳程度へ引き上げることを視野に検討を進める必要があるとして、今週から社会保障審議会の部会で本格的な議論を始める方針です。具体的には、引き上げるスケジュールを3年に1歳ずつから2年に1歳ずつに早めて、65歳への引き上げ時期を前倒ししたうえで、基礎年金とともに、68歳から70歳程度へ引き上げる案などを示し、定年制の見直しなど高齢者の雇用対策も含めて慎重に議論を進めることにしています。一方、60歳から64歳で、年金と給料の合計が月額28万円を超えると年金が減額される、「在職老齢年金制度」の現在の仕組みについて、働く意欲を阻害しているという指摘があることから、厚生労働省は、減額の対象となる限度額を、65歳以上と同じ46万円や、平均的な給与水準に合わせた33万円に緩和する案などを示し、検討していくことにしています。】


ようするに、年金は若年層にとって、逃げ水のようなものですね。
年金をせっせと収めても、自分がもらえる年齢は、どんどん遠ざかっていくわけです。
すでに日本の年金制度は破綻している、といわれて久しいですが、具体的にこういう支給先延ばし案が出てくると、もはや年金を払い続ける意欲は限りなく下がるでしょう。
今の年金制度は、若年層が高齢層を支える仕組みなのはあきらかで、今の若年層は、年金の恩恵にあずかれないことがはっきりしてきたわけです。
いっそ、逃げ水のような年金制度はやめて、はっきりと、若年層一人当り高齢層何人分の負担、ということをはっきり示し、その分を税金で金額をあきらかにして負担するとか、目に見えるかたちにしたほうがいいと考えます。その分、若年層には別の形で(減税とか手当支給とか)負担を軽減するようにすればいいのではないでしょうか?
高齢層を若年層が支えるしかない社会になってしまったのはもはや逃れられない事実なのだから、ますます減っていく若年層に、最大限の手厚い支援を行うような社会にしていってほしいものです。そうでなければ、過重な負担を背負わされた若年層は、これからますます意欲を失い、社会全体が沈没していくことになりかねません。
高齢層を支えるために今の若年層が疲弊しきってしまい、国もろとも衰亡していくのでは、本末転倒というものでしょう。
もっとも、高齢層の多い政治家たちや官僚たちに、自らの痛みを伴う変革を期待するのは無理というものかもしれませんが。