【原発周辺、長期間住めないと判断…首相陳謝へ | 作家・土居豊の批評 その他の文章

【原発周辺、長期間住めないと判断…首相陳謝へ

いまさら言われても…

【原発周辺、長期間住めないと判断…首相陳謝へ
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110820-OYT1T00928.htm
政府は20日、東京電力福島第一原子力発電所事故で高濃度の放射性物質に汚染された周辺の一部地域について、長期間にわたって居住が困難になると判断し、警戒区域を解除せず、立ち入り禁止措置を継続する方針を固めた。
数十年続くとの見方も出ている。菅首相が地元自治体に直接説明し、避難の長期化を陳謝する方向で検討している。具体的な地域は、福島県双葉、大熊両町の原発3キロ・メートル圏内などを念頭に精査する。
政府は4月、原発20キロ圏内を原則として立ち入りを禁じる警戒区域に設定。来年1月中旬までに原子炉が安定的に停止する「冷温停止状態」を達成し、警戒区域を解除する方針を示してきた。
しかし、文部科学省が原発20キロ圏内の警戒区域内で事故発生後の1年間で浴びる放射線の積算量を推計したところ、大熊、双葉両町を中心とする35地点で、計画的避難区域などの指定の目安となる年間20ミリ・シーベルトを大きく超えた。原発から西南西に3キロ離れた大熊町小入野では508・1ミリ・シーベルト、同町夫沢でも393・7ミリ・シーベルトと、高い推計値を示した。
(2011年8月21日03時01分 読売新聞)】

いまさら言われても、ねえ?
という印象です。
当初から、汚染地域にはチェルノブイリの場合と同じく、長く人が住めなくなるという予想はできていたのに、「必ず帰れます」などと、責任逃れのうそをついて、ぬか喜びさせた罪は大きいでしょう。
帰れるどころか、もっと広範囲の土地が、居住不能になっているのではないか?と思えるぐらい、放射能の拡散はひどいのに、もう大丈夫、といい続けて、いまになって、やっぱりだめでした、とは。
同じように、「お盆までには全員仮設に」と約束しながら、あっさりほごにした無責任ぶり。
こうなってもなお、国を信じる国民がどのくらいいるでしょうか?
それにしても、この発表、謝罪と、東電の原発事故収束への工程表は、あきらかに矛盾するのでは?
もう、楽観的なうそはやめて、事故の真相をとことん究明し、可能な限りの叡智を集めて、原発事故の放射能を封じ込める作戦を、国家としてやらない限り、このままでは、放射能汚染はどんどん拡散していくのではないでしょうか? 汚染された食品も土も作物も、さらに海も魚や海洋生物も、いつの間にか基準を緩められて、日本国中にばらまかれていくように思います。
ともあれ、辞める首相が陳謝しても、次の政権が何事もなかったように、さらに事態を悪化させていく可能性もあるわけで、これはもう、解散総選挙しかないのでは?という気になってきました。
少なくとも、現内閣にいた人間が、今の時点で震災復興や原発事故対応、さらに経済危機に対して、なすすべもなく手をこまねいていながら、次は自分が首相に、などと、いけしゃあしゃあと言えるのは、どういう神経なのでしょうか。
財務大臣など、いまの円高危機をどうにもできないのに、首相になっても何ができるというのでしょう?