「劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ」、動員数300万人突破 | 作家・土居豊の批評 その他の文章

「劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ」、動員数300万人突破

で、結局、レシラム篇は、どこがどう違うの?

【「劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ」、動員数300万人突破(8月16日インサイド)
http://www.inside-games.jp/article/2011/08/15/50888.html
東宝は、邦画アニメ史上初の2作品同時公開の「劇場版ポケットモンスター ベストウィッシュ ビクティニと黒き英雄 ゼクロム/ビクティニと白き英雄 レシラム」が8月14日付けで動員数が300万人を突破したことを明らかにしました。
動員数300万人を突破した「劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ」、公開から30日間で累計307万7407人を記録しました。300万人突破は2011年公開のアニメ作品では初の快挙となります。】


この夏も、家族層を狙ってアニメ映画が公開されているが、このポケモン映画については、正直、親の立場からは「ふざけるな!」といいたいです。
なぜなら、この「ベストウィッシュ」は黒バージョンと白バージョンに分かれていて、ほぼ同じストーリーの映画が2本、同時に公開されているのです。
どちらか片方を観れば、それでいいのですが、子どもの気持になってみれば、2本あるのに片方しか観れない、というのは、やはりいやなのでしょう。
しかも、DSを持っている子どもに対しては、映画館でポケモンゲームのキャラをダウンロードできる特典がついているのですが、今回は、黒と白とでもちろんもらえるキャラが違うのです。
そうなると、子どもの身になってみれば、両方ほしい!と思うのは当然でしょう。
かくして、親と子どものバトルが勃発するわけです。
うちの場合、片方だけで我慢させましたが、両方観たご家庭も多いのでは?
しかも、全然違う作品を2本、あるいは続きの話などならともかく、同じストーリーの細部を変えて、ほとんど間違い探し的な作り方をしているということで、そんなのを2本みせていったいどうしようというのでしょう?
しかも、ゲームとタイアップしていて、ゲームも黒と白の2種類あり、ようするにこの「ベストウィッシュ」はゲームでも映画でも、一つの作品を倍にして売る、合わせて4倍の売り上げを狙っているように思えます。
たとえば、ゲームだけなら、それもわかります。しかし、映画は話が別です。
映画で、同じストーリーのパラレル的な世界を作るのは、もちろんありでしょう。しかし、あくまで映画としては一つの作品にするのが、良心的というものでしょう。
なぜなら、同じお話の映画であれば、いくら細部が違っても、あるいは結末が違っても、あくまで一つの映画としてまとまっていなければ、そういう世界観の映画を何本も、細部を変えてどんどん作ることもできるからです。もっとも、2本以上となれば、客は入らないでしょうけど。
ようは、ゲームなら許されても、映画や本では許されない暗黙のルールがあるのだと思います。
本の場合も、同じストーリーで、細分が違うようなものを、2冊同時に刊行し、つまりは1本のお話で2冊買わせるようなやり方が、そうそう通じはしないでしょう。
けれど、大人なら呆れて観ないような映画でも、子どもは、やはり映画が2本あれば両方観たがるでしょう。子どもの欲望を刺激して親に金を倍払わせようという、あからさまな儲け主義にしか思えないのです。
この公開方式、今年限りで来年はかんべんしてほしい、と思います。
で、結局、レシラム篇は、どこがどう違うの?