サントリーホールのコンサート
久しぶりに、サントリーホールのコンサートに行きました。オール三菱合唱団総勢230名という大合唱団と、東京フィルを、山下一史氏が指揮しました。ソリストは、ソプラノの天羽明惠実さん、メゾの池田香織さん、テノールの吉田浩之さん、バリトンの三原剛さん。
曲目は、モーツァルトのミサ曲ハ短調と、レクイエムをカップリング、という、なんとも贅沢なプログラムでした。
演奏についてあれこれ語りたいところですが、一つだけ。
モーツァルトの「レクイエム」は、モーツァルトの曲の中でも特にファンの多い曲の一つです。映画『アマデウス』で、ライバルの作曲家サリエリが、モーツァルトを苦しめるために変装して作曲を依頼したエピソードは、よく知られています。
その「レクイエム」は、モーツァルトの死によって、未完に終わりますが、弟子が補筆したバージョンが、現在よく演奏されているものです。第7曲「涙の日」の途中で、モーツァルトの息は絶えてしまった、という物語になっているのですが、その「涙の日」の演奏は、この日のコンサートの白眉でした。
指揮者の山下氏は、この特別なミサ曲に、尋常ではない打ち込み方をみせました。有名な「ヴァイオリンのすすり泣き」と呼ばれる冒頭から、ホール全体が沈痛な気分に満たされました。歌う人々が歌詞に込めるそれぞれの深い思い入れは、モーツァルトの透明な旋律にのってホールの空間をひたひたと満たしていきました。
そうして、最後の「アーメン」の和音が、いつまでも続いてほしい、と感じさせながら、静かに消えていくと、ホールはしばし、静寂につつまれたのです。
あの瞬間、そこにいた誰もが、各自の大切な誰かを思い、失われた人生の尊さを噛みしめていたのだと感じました。
秋の午後の一時、ただ美しいモーツァルトの音楽だけにひたって過ごした、特別な時間でした。
曲目は、モーツァルトのミサ曲ハ短調と、レクイエムをカップリング、という、なんとも贅沢なプログラムでした。
演奏についてあれこれ語りたいところですが、一つだけ。
モーツァルトの「レクイエム」は、モーツァルトの曲の中でも特にファンの多い曲の一つです。映画『アマデウス』で、ライバルの作曲家サリエリが、モーツァルトを苦しめるために変装して作曲を依頼したエピソードは、よく知られています。
その「レクイエム」は、モーツァルトの死によって、未完に終わりますが、弟子が補筆したバージョンが、現在よく演奏されているものです。第7曲「涙の日」の途中で、モーツァルトの息は絶えてしまった、という物語になっているのですが、その「涙の日」の演奏は、この日のコンサートの白眉でした。
指揮者の山下氏は、この特別なミサ曲に、尋常ではない打ち込み方をみせました。有名な「ヴァイオリンのすすり泣き」と呼ばれる冒頭から、ホール全体が沈痛な気分に満たされました。歌う人々が歌詞に込めるそれぞれの深い思い入れは、モーツァルトの透明な旋律にのってホールの空間をひたひたと満たしていきました。
そうして、最後の「アーメン」の和音が、いつまでも続いてほしい、と感じさせながら、静かに消えていくと、ホールはしばし、静寂につつまれたのです。
あの瞬間、そこにいた誰もが、各自の大切な誰かを思い、失われた人生の尊さを噛みしめていたのだと感じました。
秋の午後の一時、ただ美しいモーツァルトの音楽だけにひたって過ごした、特別な時間でした。