■ 北朝鮮「日本は千年来の宿敵」 賠償責任を討論、2015年以来(記事) ■
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共同通信
【北京共同】北朝鮮メディアは13日、日本は「千年来の宿敵」で「万古の罪悪は必ず清算されるべきだ」として植民地統治などの賠償責任を訴える討論会が12日に平壌の社会科学院で開かれたと報じた。ラヂオプレス(RP)によると、同様の討論会の開催が確認されるのは2015年以来。研究者らが参加した。
高市早苗首相は拉致問題の解決に向けて、北朝鮮に金正恩朝鮮労働党総書記との首脳会談を打診したと明らかにしているが、北朝鮮メディアでは言及されていない。
北朝鮮は友好国との連携強化を重視しており、12日にはラオスとの外相会談を平壌で行い、国際舞台での協力を確認した。
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<私の意見>
近年、どれだけの頻度で北朝鮮において日本の情報が出されているのかはわからないです。
米国民主党バイデン政権は、北朝鮮に対して全く興味を見せていませんでした。
北朝鮮は、先の第1回目のトランプ政権時には、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が就任後ずっと北朝鮮に寄り添う態度を取っていたことに加え、米国と2回にもわたり米朝協議が行えたことから、日本との関係改善を示す必要がない状況にありました。
尹政権では日米協調の態度からロシアと関係を深め、最近になり、米中関係の悪化から中国とも表面的には融和関係を結びつつあります。
北朝鮮にとっての一番の課題は米朝関係修復し、北朝鮮に科されている多くの制裁を解除するだけでなく、定常的に西側から経済支援を受け、国家を富ますことにあります。
金正日と金正恩との間で大きく異なっている政策は、韓国との関係にあり、前政権においては朝鮮半島の統一を掲げていましたが、現政権はそれらに固執するどころか交流すら完全に途絶えさせました。
現状で北朝鮮がどういう方向に国を作り上げるのかというビジョンはわからない状況にありますが、国家を維持し金王朝を維持させたいことだけはわかります。
北朝鮮が必要としているのは資金です。2019年の国家予算が43億ドル程度とされており、韓国の1/10規模と言われていました。以前は日本の鳥取県の経済規模と言われたこともあります。現在は円安が進行しているとしても日本円で5,000億円~8,000億円規模の経済力しかありません。日本の予算規模が100兆円を超えていますから、単純に通貨規模でいうと1%にも達しないということです。
日朝交渉時、国交正常化で日本から北朝鮮に対して、当時1兆円(100憶ドル)とされていましたが、今の相場だと2~3兆円ということになるでしょうか。
但し、北朝鮮としてはこの金額は名刺代わりともしているようで、総額は5倍、10倍とも言われています。
北朝鮮の国家予算の数倍以上を国内では目論んでいるのは間違いないです。
いつも言うように、北朝鮮は既に拉致問題を解決する意志は全くありません。被害者全員が亡くなるまで封印するつもりでおり、その後(今回は丁寧に)書類を整え、日本との交渉過程と辻褄を合わせて改めて何の反省もなく日朝交渉再開に打って出ようと考えていると思われます。
日朝交渉にかかる北朝鮮側の懸念としては、拉致問題のせいで、それまで積み上げてきた日朝交渉の支援が相殺され、日本側からの資金が大幅に減額させられてしまうことです。
さらに北朝鮮が日本との交渉で復活させたいのは1990年に社会党の田辺委員長と自民党の金丸元副総理が金日成との間で交わした「戦後補償」の上乗せです。
日韓併合の1910年~45年について、日本は韓国との交渉で経済協力金(実質の補償)を支払っていますが、北朝鮮は1945年以降の日朝間の非正常関係についての補償も要求し、田辺、金丸の両氏は首を縦に振っています。
ただ、これは国交のない中、国家間ではなく、朝鮮労働党と自民党、社会党(現在は消滅)間で交わされたものであり、通常の対応にはなりませんが、仮に文書が交わされているようだと北朝鮮側から日朝国交正常化にあたり、それなりの要求はしてくるものと思われます。
拉致被害者が亡くなれば、北朝鮮としては日本に対しなんの縛りもなくなるため、米国と「一定の関係(現在のような最悪の関係でなくなり)」が築けた場合、一気に国際機関等に日本の悪行(彼らの言う植民地支配ならびに慰安婦等の人権問題糾弾)を上げつられながら強い交渉をしてくるものと思われます。
ここでいったん声をあげてきたのは特に意味はなく、日本がどの程度妥協をするのかをまず見るつもりでしょう。
「拉致問題」から言葉を始めた場合は、即刻交渉に応じず、まず「どれだけの支援」を掲げてくるのかを聞こうということです。
彼らの言う「千年来の宿敵」修飾語句とは、結局「金要求」と同意語であると考えるべきです。
今までもインドネシアやマレーシアなど北朝鮮側と非公式に事前の秘密会談を実施してきましたが、何一つ成果をあげてきていません。
日本が実施すべき交渉は「制裁強化」という武器があって成立しますが、中国、ロシアと言った抜け穴がある限り実質的に意味のある交渉はできないということです。
金正恩はあの体形では間違いなく長生きができませんから、次に交渉できるタイミングは彼が死亡した時ではないでしょうか。