
■第728回 定期演奏会■
ニールセン/序曲「ヘリオス」op.17
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番ハ短調 op.37*
(アンコール:ベートーヴェン/ピアノソナタ第6番第3楽章)
プロコフィエフ/交響曲第5番変ロ長調 op.100
ピアノ:イノン・バルナタン*
指揮:オスモ・ヴァンスカ
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もう3月の終わりになりました。既に2025年になって3か月が経過しました。
最近の関心事と言えばトランプの関税攻撃です。ジャイアンを地で行く脅しは世界中で敵を作る勢いです。
今回の定期公演に登場するヴァンスカはミネソタ交響楽団の音楽監督をしていました。同オーケストラかつてオーマンディも音楽監督でその後ミトロプーロス、ドラティ、スクロヴァチェフスキなんかも着任しているというなかなかの名門オーケストラです。
この指揮者は僕にとっては初めての対面です。在京オーケストラだと読売日本soで指揮されていましたね。
フィンランド出身の指揮者らしく北欧の音楽家の演奏を行われます。この日も1曲目はニールセンの曲です。
冒頭、ホルンのうなりから始まる動きがありますが、途中トランペットが入りこみところが絶妙です。切れのある曲ですが、オーケストラを非常にドライブできていました。
2曲目はバルナタンをむかえてのベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番です。バルナタンのピアノタッチは重くならず、古典的です。最近音を響かせすぎるピアノをよく耳にしますが、ハイセンスな音を展開していました。オーケストラも重くせず飽きが来ない仕上がりで舌。特に皇帝で思い音を聞かされ辟易することがありますが、こういう小気味の良い音が適当です。
さて、3曲目はプロコフィエフの交響曲でした。
この日、コンサートマスタ-のグレブ・ニキティンが務めるはずでプログラムにもそのように気差されていましたが、その席に座られてたのは田尻 順さんでした。ニキティン氏が体調でも損なわれていたのでしょうか。僕は田尻さんのコンマスで聴くのは初めてです。
特に大きな変化もなくうまくこなされていたのではないでしょうか。
この交響曲第5番は弦が大きく、この日ヴァイオリンだけで総勢29名(第1:15名、第2:14名)という編成でした。
さらにトランペットも最初の2曲はトップを ローリー ディランさんが務めていましたが、3曲目だけ澤田さんでした。オーケストラの事情なのか、この指揮者でお互いが吹きたかったのかよくわかりません。
この交響曲はオーケストラも気が抜けないですね。各楽器の連なりがとても複雑で、パートの重なりが悪いと大怪我しますよね。
指揮者もオーケストラも非常にうまく立ち回っていました。
ただ指揮者に一つ難点があるとしたら、音楽的なことでなく、楽譜をめくる時に左指を思いっ切りなめ唾でめくることです。
僕はこれが大嫌いで、子どもの頃父が唾をつけた指で僕の所有する本をめくり、本のその箇所がくろくなったことを非常に悲しく思ったことです
神経質と言われればそれまでかもしれませんが、嫌なものは絶対に嫌なのです。
この曲で一番好きなのは第3楽章です。「ロミオとジュリエット」の楽曲を彷彿とさせる大変にきれいな曲です。
第4楽章の動かし方は、「ピーヒョロ、ピーヒョロ」とプロコフィエフらしいが楽曲です。
ショスタコービッチと異なる最終楽章の作りです。威風堂々ではないですが、非常に巧みな大団円で、ヴァンスカも的確に勘所を抑えていました。
オーケストラの皆さんもとてもうまかったと思います。
今回も観客について苦言を一言です。
終演後の拍手で指揮者を呼び出す所業を、淡々とねらってやる輩がこの日もいました。
この日はP席のR側の下の方にいた女性です。
終演の拍手時からやる気満々で他のお客も呼応させていました。
呼び出すぐらいなら終演後楽屋口にでも行って好きなだけ拍手すればよいと思うのですけどね。
誰彼構わず呼び出すのはやめましょうよ。
今週末のブルックナーの8番後はスタンディングオーベーションしながらノットさんを呼び出すんでしょうね。