さて、11月になり世界有数のオーケストラがぞくぞく日本におとずれます。
 10月末には既にアムステルダムロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団が来日しています。今月は、ウィーンフィル、ベルリンフィル、ライプツィヒゲバントハウス管弦楽団の演奏が聴けます。
 ベルリンフィルは頻繁には来日してくれませんが、ウィーンフィルは毎年のように来てくれるので、そこそこの感激といったところですが、それでもウィーンフィルなのでしょう。オーケストラ能力(音を出す)は米国の上位オーケストラが上回っているのでしょうけど、そのオーケストラに培われた伝統ではやはりこのオーケストラは優れているのでしょうね。このオーケストラを指揮したい人はたくさんいるでしょうからね。
 
 予定されていたフランツ・ウェルザー=メストの代役として、トゥガン・ソヒエフがタクトを取ります。
 今回の代役を「ラッキー」と思うのか、「なーんだ」と思うかは人それぞれだと思います。
 昨年はベルリン国立歌劇場管弦楽団来日について、当初の音楽監督であるバレンボイムからティーレマンに代わりました。この時は曲目の中心がブラームスだったのですが、代役が主役にも負けない指揮者だったことに「びっくり」(日程がよくあいていたね)というのが大半の意見だったのではないでしょうか。
 バレンボイム本人が代役を頼んだということでした。
 
 ソヒエフはNHK交響楽団に定期的に指揮を披露してくれています。そういう意味では日本の聴衆に露出も多く、音作りも多数の人が知るところです。今年の1月に続き来年の1月もこのN響で指揮します。
 現在のソヒエフは世界的に著名なオーケストラを結構指揮していることから、逆の見方をすると、N響が相当評価されているのかもしれませんね。
 日本の聴衆の質の高さはかねてから有名ではありますが、ブラボーオタクはなんとか撲滅して欲しいとは思いますけどね。いつも本当に迷惑です❗❗❗❗
 
 メストはウィーンの申し子で、オーストリア生まれでウィーンフィルとも関係が深い指揮者です。ウィーン国立歌劇場の音楽総監督を2010年から14年までつとめていましたからね。クリーヴランド管弦楽団の音楽監督は2002年から今もつとめています。
 小澤征爾さんと似たような経歴になっていますね。ただ年齢は63歳ですから今からがこのマエストロの重要な時期ですね。そのメストのブラームスが聴きたかったなという気持ちは大変にあります。
 
 今回、ソヒエフになりましたが、代役が決定するまでやきもきしました。ザルツブルグ音楽祭でも代役をつとめたハーディングになるのかなと思いました。ウィーンフィルの海外公演ですからそれなりの指揮者を選定しなくてはならないでしょうけど。
 かつて来日公演でカルロス・クライバーの代役にシノーポリ、小澤征爾の代役にネルソンス、メストなどになっていました。
 結果は意外や意外でした。全く想定外でした。この時期ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の指揮が予定されていたはずなので、それをキャンセルにしてに日本公演に参加してくれたのでしょう。紆余曲折だったのは間違いないでしょう。
 
 ただ、リハーサルはどこでやるのでしょうかね。今回用意する全演目は以下のとおりです。
R・シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」op.30
ブラームス/交響曲第1番ハ短調 op.68
サン゠サーンス/ピアノ協奏曲第2番ト短調 op.22 (ピアノ:ラン・ラン)
プロコフィエフ/交響曲第5番変ロ長調 op.100
ベートーヴェン/交響曲第4番変ロ長調 op.60
ドヴォルジャーク/交響曲第8番ト長調 op.88(B 163)
 
 6曲もありますよ。サン=サーンス以外は比較的演奏機会が多いものですが、これだけの曲を短期間に仕込むのはオーケストラと指揮者が相当信頼関係を築いていないと難しいと思います。
 ソヒエフとウィーンフィルはもうすでに日本入りしているのでしょうかね。
 日程はいかのとおりです。
名古屋公演:2023年11月10日(金)
大阪公演:2023年11月11日(土)
東京公演:2023年11月12日(日)
東京公演:2023年11月14日(火)
横浜公演:2023年11月15日(水)
東京公演:2023年11月18日(土)
東京公演:2023年11月19日(日)
 
 ほぼ連日の公演ですね。プロコフィエフは独自色を出せるでしょうけど、サン=サーンスを除くほかの曲はどれもウィーンフィルの十八番ですよね。
 ソヒエフの音楽というよりもウィーン・フィルの上にソヒエフが乗っかって指揮をするのかもしれませんね。
 今回の来日について、先に声をかけた指揮者があったのかもしれませんね。
 メストが声をかけたのか、事務局が動いたのかはわかりませんが、サントリーホールがホームページでNHK交響楽団、ドレスデン国立歌劇場に対して今回感謝の言葉があげられています。代役選定に困難があったのかもしれませんね。
 
 今回の公演は少し生暖かい目で見させてもらおうと思います。僕は12日に向かうこととしています。
 
〈11月11日追記〉
   ウィーンフィルの今回のツアーはアジアツアーで、既に台湾、韓国で演奏済みであることが判明。
 演奏の熟度への心配はないようです。