【韓半島平和ウォッチ】強制徴用問題決断した韓国、「実用外交」で日本越えを)(記事)

中央日報 3月10日付け

 国際通貨基金(IMF)によると、昨年、韓国の1人当たりの国内総生産(GDP)は3万3592ドル(現レートで約457万円)と推定され、日本(3万4358ドル)より766ドル少なかった。テレビ・冷蔵庫・洗濯機などの家電では韓国が日本を追い越して久しく、自動車・鉄鋼・造船分野でも日本と対等に競争している。
 1985年には世界10大半導体企業の5社が日本企業だったが、今は1社も入っていない。韓国のサムスン電子・SKハイニックスが世界10大半導体企業となった。音楽・映画・ドラマなど文化産業でもK-POPがJ-POPを圧倒し、世界的地位を高めた。

◇韓国半導体の猛追に対策講じる日本

 日本はアナログ的製造業中心の戦略に安住し、デジタル・先端技術経済への迅速な切り替えに失敗した。企業の生産性が落ち、労働者の賃金を引き上げることができず、物価上昇の誘導にも失敗したことで、日本人の生活の質は低下した。
 最近、日本のNHK放送で、元小学校教師など8人の若い日本人がオーストラリアの農場で集団生活をしながら一日6時間ブルーベリーを収穫する仕事をし、日本の2倍以上に当たる50万円の給料をもらっているという内容を見て衝撃を受けた。日本のバブル経済絶頂期だった1980年代半ばには、日本の資産価値が米国の3.5倍にもなるという評価もあった。このような日本の現実を見ながら、経済と産業の光速の変化を予測して迅速に対応できなければ、いくら難攻不落と見える経済も崩壊しかねないということを痛感することになる。

 ところが、IMFの今年の国別経済展望を見ると、世界全体の成長率が2.8%、日本が1.8%、韓国が1.7%だ。1999年以降、成長率で持続的に日本をリードしてきた韓国が、今年は日本に後れを取るという暗鬱な予測だ。
 日本政府は韓国の追撃に危機を感じ、対策作りに乗り出した。日本政府は補助金4760億円を投入し、熊本に世界最大のファウンドリー会社の台湾TSMCの工場を誘致し、日本国内の半導体供給不足を軽減させる計画だ。また、日本政府の介入により大手企業8社が共同出資した「ラピダス」という半導体コンソーシアムを結成した。その他、観光・農水産物など多様な分野で、外貨を稼げるのであれば政府が積極的に民間を支援するという姿勢だ。

 韓国は日本より人口が少なく資源もない。また、北朝鮮という大きな安保リスクを抱えており、地政学的限界のため世界秩序を先導する国家群に入ることができない。したがって、韓国は経済が崩壊すれば、ほとんどすべてを失ってしまう。国民の生活が疲弊するのはもちろん、安保環境も弱くなり、国際社会での存在感と影響力も墜落せざるを得ない。我々皆が当然視する市場経済と民主主義も揺らぎかねない。
 さらに激化する米中覇権競争は経済・安保の両分野であまりにも急激に展開され、思考と戦略の根本的再構成と変化を要求している。もちろん、経済・安保で外交が介入する領域もはるかに広がった。

◇EU離脱の英国、マイナス成長の見通し
 韓国外交が国の安定と繁栄を最優先にする極端なほどの実用主義で展開されなければならない厳しい環境だ。そのためには、重要な外交イシューを政争化することを自制し、国民の世論の分裂を改善して実用外交を可能にする外交生態系を作る努力が求められる。
 英国はポピュリズムの罠に陥り、2016年の国民投票でEU(欧州連合)離脱を決めたことから、今年主要7カ国(G7)の中で唯一、逆成長(-0.6%)するものとIMFが予測した。英国の家庭が2024年にはスロベニアの家庭より貧しくなるという予測まで出ている。
 反面、シンガポールは国民の政治的自由を制限しているが、利益創出最優先の優れた政府統治体制により、昨年基準で1人当たりGDP7万9426ドルを誇る。韓国の2倍を上回る。

 作家の金薫(キム・フン)氏は昨年9月16日、中央日報の書面インタビューで、「李舜臣(イ・スンシン)将軍が鳴梁(ミョンリャン)海戦の前に、12隻では勝ち目がないから、逃げようとする部下を説得して従わせるリーダーシップを発揮した」と述べた。また、拍手され票を集めるリーダーシップではなく、多くの人が行くのを憚る道に多くの人を連れて行くことができるリーダーシップの重要性を強調した。
 2018年の大法院(最高裁)の判決以降、韓日関係を大きく後退させた強制徴用問題が両国政府間で事実上、妥結した。韓日関係は国内政治において最も分裂的な外交イシューだ。しかも、国民感情が大きく作用する歴史問題のため、政府がこの問題の妥結を決定するのに相当な決断が必要だったことだろう。
 日本がこの問題に対して確固たる法理論的立場を堅持してきたため、韓国政府が支持を示さない世論ばかり追従していたならば、この問題を永遠に解決することはできなかっただろう。今回の妥結について多様な利害関係者が多様な評価をするだろう。この問題は長い間、韓日関係だけでなく韓国外交全般の大きな負担となってきた。

◇韓日関係の悪化で貿易量が20兆ウォン減少
 全経連によると、大法院の徴用判決による韓日関係の悪化で、両国の貿易規模はそれ以前より10%(20兆ウォン、約2兆円)ほど減少した。また、韓国は日本との戦略的パートナーシップを推進する動力を失い、韓・中関係を健全に推進するレバレッジが減少した。韓米日の三角安保協力関係でも弱い輪になってしまった。インド・太平洋戦略が展開される過程で、韓国が意味のある役割を果たすのも難しい状況だった。
 今、韓日関係は協力と競争の未来に向けた新たな出発点に立っている。韓日外交に長く関与した筆者として、今回の妥結を韓国が日本との未来の競争で必ず勝つという覚悟を固める契機にすることを願う。怨恨や怒りは日本に勝つための戦略にはなり得ない。このような姿勢は悪化した韓日関係を永続化し、国益のための実用外交を展開する上で大きな障害となり、国際社会で孤立を招くだけだ。
 日本との協力の地平を広げてこそ、日本を越える道が開かれる。昨年の韓・日の国民所得格差は1000ドルにもならなかったが、ここで停滞することはできない。一日も早く日本より豊かに、世界平和と繁栄に貢献する韓国にするための長い道のりに外交力を集中させる時だ。今後、韓国は誇らしい未来史を書いていかなければならない。
イ・ヒョク/元駐ベトナム大使

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 この文章は韓国の元ベトナム大使の文章ということだそうです。大使になる人間がこのような低レベルの文章しか書けない韓国外交部の人材のなさに「心底お悔やみを申し上げます」。惨めというレベルを遙かに超えます。論理展開と比喩の惨さは半端ではないです。イ・ヒョクは「李赫(イ・ヒョク)」と記載し、2006年頃、外交通商部の東北アジア局長を務めていました。

 現在と異なり、当時東北アジア局長のポストは中国、日本両国を所管しています。現在は徐旻廷(ソ・ミンジョン)が韓国外交部「アジア太平洋局長」として船越アジア大洋州局長のカウンターパートナーですが、当時は日本、中国を相手にしていたことからエリート外交官だったのでしょうね。今は韓国アセアンセンター事務総長をしているようですね。

 ここで昔の中央日報記事を一本挟みます。

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韓国政府の外交ラインに日中専門家が不足(記事)

韓国政府の核心外交ラインに日本通と中国通が不足していることが明らかになった。要職がすべて欧米通に占められており、最近の日本や中国との外交摩擦を解決するには力不足という指摘が出ている。

 大統領室と外交通商部の次官補(1級、室長級)以上13人のキャリアを見ると、日本通と中国通は今年初めの外交通商部高官人事以前に比べ大幅に減った状態だ。代わりに米国通が多数を占めている。金星煥(キム・ソンファン)長官、張虎鎮(チャン・ホジン)大統領外交秘書官は北米局長を務めた米国通だ。外交安保研究院教授を務めた金聖翰(キム・ソンハン)第2次官も米国専門家だ。金奎顕(キム・ギュヒョン)次官補は北米1課や駐米公使などキャリアの大部分で米国関連業務に従事してきた典型的な米国通だ。

 国連をはじめとする多国間専門家も多い。千英宇(チョン・ヨンウ)大統領外交安保首席秘書官は国連での経験を持つ北朝鮮核問題の専門家だ。国連次席大使を務めた金奉ヒョン(キム・ボンヒョン)多者外交調整官、国連代表部で勤務した文河泳(ムン・ハヨン)在外同胞領事大使もそうしたケースだ。金尚一(キム・サンイル)大統領儀典秘書官、趙大植(チョ・デシク)企画調整室長、ペ宰鉉(ペ・ジェヒョン)儀典長は文化外交局長を歴任した。

 これに対し駐日大使館公使参事官と東北アジア局長を務めた趙泰永(チョ・テヨン)報道官が現在の高官級外交ラインではほぼ唯一の日本専門家に挙げられる。駐米大使館と駐中公使を経た“G2型外交官”の林聖男(イム・ソンナム)韓半島平和交渉本部長は北朝鮮の核問題の業務だけを総括している。誠信(ソンシン)女子大学のキム・フンギュ教授(中国政治)は、「高位意志決定グループが特定ラインに偏るのはバランスの取れた外交のためには望ましくない」と話した。今年1月までは朴錫煥(パク・ソクファン)第1次官(駐中公使参事、駐日公使、駐英大使)をはじめ、金在信(キム・ジェシン)次官補(アジア太平洋局長、駐独大使)、李赫(イ・ヒョク)企画調整室長(アジア太平洋局長、駐日公使、駐フィリピン大使)など日本や中国を経験した外交官が少なからず布陣していた。その後の人事移動により後任に来た安豪栄(アン・ホヨン)第1次官は主要20カ国(G20)大使を、金奎顕次官補は駐米公使を経た。また、趙大植企画調整室長は文化外交局長出身だ。

 一方外交界からは李明博(イ・ミョンバク)大統領が任期末に対外的に敏感な歩みをしながら外交専門家たちの声を傾聴しないという指摘も出ている。例えば14日の日本の天皇に対する批判的発言には外交ラインの意見が十分に反映されていなかったという。日本側の反応を深刻に見ない非外交ラインの判断が優先されたために不必要な摩擦を起こしたということだ。
 一部では現代(ヒョンデ)建設社長時代から外交官に対して否定的印象を持っていた李大統領の個人的好みを問題に挙げたりもする。李大統領は就任当初、外交官らに対し「良いレストランばかり通いショッピングをしてゴルフも楽しむ部類」との認識を示したりもした

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 僕は、韓国人ではないので、彼らの気持ちがわかるわけではないですが、現在韓国の主産業は「半導体」であり、サムソンがその中心にあり、韓国人の多くが考える将来的にも半導体産業が韓国の存亡にある業態であるということでしょう。

 韓国の識者が「徴用工問題解決」で共通しているのは、「用日」をなんの障害もなく実施できるようにすることです。

 イ・ヒョクはそのことを強く打ち出しており、戦略的パートナーシップという言葉も空々しく「用日のため」と言い換えた方が潔いと思います。「用日」により経済を強化して日本を追い越すと言っていますが、このあたりの論理構成に破綻をきたしています。

 

 韓国が半導体産業を仮に盤石にするためには、「潤沢な資金」、「最新式のシステムを製造するための機械と部品」、「システム開発するための人員」が必要ですが、全てが日本を含めた韓国以外の国から確保する必要があります。

 サムソンは新たに資金が確保できず、新たな半導体製造施設を建設するために子会社から資金をしました。

 いまだに輸出にあたっては日本の銀行の信用状が必要です。

 仮に、半導体で韓国が今後一定のシェアを確保してもそれで「韓国が日本を超えることができる」という発想に至る思考が理解できません。

 資金を韓国独自に確保し、自前の技術で機械、部品を確保し施設を製造することが可能であれば日本を追い越すことは可能でしょうけども、資金と核心技術を日本に依存しながら日本を追い越せるという発想が貧弱過ぎると思います。

 

 さらに、現時点では「日本との協力」ではなく「日本からの支援」という言葉が正しい表現です。プライドが高い韓国は決してそのようなことは口が裂けても言えないのでしょうけど、シビアに真実を見つめる厳しさを有することができてこそ、韓国は次のステージに進めると理解すべきではないでしょうか。

 

 韓国が、きちんと発展し他国からも尊敬されるためには、いつも言いますが、自分の弱みを正確に理解し、それを克服する努力をすることはもちろんですが、そのためには客観的に自分たちを位置づけ、そこで国益は何なのかということを国民全体が共有化することが必要です。そうすれば、「信用の重要性」が認識でき、尊敬される、あるいは信頼されるためには「約束を守る事」、さらに「外交の継続性」が如何に大事であるか理解できるはずです。

 

 しかしながら、韓国では識者でああろうはずのイ・ヒョクですら、このような文章しか書けない愚かな韓国人は、まだまだ発展は難しいと思います。いつまでも目先の利益に一喜一憂し、鶏のようにバタバタして強い獣に簡単に食われてしまうことでしょう。