「強制徴用議論、韓日協力して共に進むべき」(記事)
中央日報 12月7日
韓国外交部が6日、強制徴用賠償問題などで行き詰まっている韓日関係を打開するために、両国関係に造詣の深い人々を招待した「賢人会議」を開いた。
外交部当局者はこの日、「朴振(パク・ジン)外交部長官と韓日関係関連の賢人との会議が、昼食も兼ねて開かれた」とし「今回の会議で韓日関係の推進方向性と懸案解決の方向に対して、出席者の意見を聴取し、両国関係改善のための理解と支持を呼びかけた」と明らかにした。
また別の外交部当局者は「賢人会議の出席者はこれまで韓日関係改善のための議論に注力してきた人々」としながら「強制徴用問題を含む韓日葛藤の事案についての議論の枠組みと、韓日・韓日米協力など国際共助に向けた信頼強化というツートラックが同時に進められなければならないという提言が出てきた」と伝えた。この当局者によると、会議では強制徴用問題を焦って解決しようとするよりも、長期的な観点からアプローチしていくことも必要だという意見も提示された。
この日の会議には中央ホールディングスの洪錫ヒョン(ホン・ソクヒョン)会長をはじめ、文喜相(ムン・ヒサン)元国会議長、崔相龍(チェ・サンヨン)元駐日大使、韓日親善協会中央会の柳興洙(ユ・フンス)会長らが出席した。
外交部は9月初めに国内専門家との官民協議会が終了してから、小規模の賢人グループの意見を聴取する方案を模索してきた。この日の会議は外交部が明らかにした「拡張された形態」の意見聴取の具体的モデルだと解釈される。
外交部当局者は「これまで4回にわたる官民協議会を通じて、考慮できるだけの意見はほぼすべて出されたと考えるが、各界各層の意見をもう少し幅広く聞いてみる過程が必要だとみている」とし「(賢人会議以降)公聴会など拡張された形の他の意見取りまとめをどのようにやっていくべきか悩んでいる」と説明した。
この日会議に出席した洪会長は、財団法人「韓半島平和作り」を通じて過去3年余りの間開催してきた韓日ビジョンフォーラムで「賢人会議」を設置して韓日関係改善の糸口を探る方案などを提言してきた。文元議長は2019年韓日企業と両国国民が自発的に参加して基金を作り、「記憶・和解・未来財団」を通じて被害者に賠償金を支給する「1+1+α(アルファ)」方式の強制徴用問題解決法を提示したことがある。崔元大使は金大中(キム・デジュン)政府の時、柳会長は朴槿恵(パク・クネ)政府の時にそれぞれ駐日大使を務めた韓日関係の専門家だ。
賢人の意見を聴取した韓国政府は被害者側との疎通も推進している。対日関係を扱う外交部のアジア太平洋局長に最近任命された徐旻廷(ソ・ミンジョン)局長は、今月7日に非公開で光州(クァンジュ)を訪れて被害者側の人々に会う予定だ。光州には勤労挺身隊被害者を支援する団体や訴訟代理人団がある。
外交部は「今後も韓日間懸案の合理的な解決方案の摸索と関係改善に向けて、被害者側をはじめとする各界各層の意見を傾聴して外交当局間の緊密な対話と協議を続けていく予定」と明らかにした。
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徴用工問題の解決は、韓国にとって非常に重要な課題となっています。彼らが解決したい背景は日韓関係の改善です。
彼らの「日韓関係の改善」の意義は日本から経済的協力を得られる状況となるということです。
韓国の現状の課題は、日本と疎遠になったことで、①経済協力を正式な形で得られないこと、②日米を中心とした西側のサプライチェーンの枠組みからはずされてしまったこと、③日韓の経済人の交流が疎遠になったことで日本の先端技術が確保しにくくなったこと があげられます。
これら以外に漁業問題、韓国人学生たちの日本における就職問題など日韓問題は「韓国が日本にお願いする案件」が目白押しにあります。日韓関係とはすなわち「日本における(継続的な)韓国支援問題」でもあるのです。
韓国は、近年経済発展が進み、韓国民のプライドも相当付いたわけですが、実態は高度な「組み立て工場が確立された」レベルの話であり、この国が現在の地位は米国や日本の高度技術や部材、さらに投資のための金融的支援と経済環境が整うことで成立しているということです。
日米ともに、必ず人材コストが物を言う「製品化」での勝負はダンピングの仕合が必ず出てくるという点から、距離をおき、システム開発、素材開発、さらにそのための体系的な特許確保にシフトし、競争相手を考える必要がない位置に自国の企業を置く方向に転換しつつあります。
しかしながら、韓国はいまだに「商品化」に力点を置き、目に見える商品化で自分たちの力を誇示してきていますが、人件費が上がっていけば、それらの作業は後進国に移行していくことになる想定をしていないことが課題です。
韓国の主要産業は半導体、自動車、造船等ですが、それまで主要産業だった電化製品は中国に市場を奪われ、先の3つも安泰ではない状況になっています。いずれも世界的には先端産業ですが、日米ともに自国の企業の力点部分が商品として目に見える部分から独占的に行える目の見えない部分に移行しています。
韓国人の多くは自国の製品が全世界を相手にしているということで、怖い者なしのような振る舞いをしていますが、米国の技術、日本の技術と素材を止めたら翌日から立ち行かなくなるのは韓国の企業経営者ぐらいです。
前大統領の文在寅(ムンジェイン)も取り巻きからそのような事実を明確に知らされてこなかったために「日本に勝つ」などと簡単に発言するに至っています。政権末期になり、初めてその事実を知ったために日本に対し、しきりに会談を要求するようになったわけです。
組立工場国家は日本の資金(日本の銀行から借りる)で施設を建て、日米の技術を活用し、日本の部品、素材を利用することで成立します。韓国はたまたま、自国の近隣に日本が存在したから精一杯活用したということで、「用日」とはまさにこのことで、日本の資金と技術を取り込んで発展することを言います。
日本とすれば、この組み立て工場が台湾、ベトナムでもマレーシアでも良いわけです(但し、親中のインドネシア、怠け者のフィリピンは適さない)。
工場を建てるためには莫大な資金が必要で有り、施設の減価償却が終わるまでに他国の企業が新たな施設を建設し、安価な人件費で製造すれば、安い価格の製品が市場に出回り、開発費用を回収できないうちに施設をたたむか、他社に安価で買いたたかれることになるため、日本としては製品製造への投資を減らしてしまったのが実態です。電化製品、半導体はまさにこれらを韓国や中国が取って変わったということです。人件費の高い日本にとっては、製品が高度化し、他国に真似が出来ない物であれば製品化の意味があるのですが、他社が施設さえ用意できれば製品化できるものを製造することは「経営リスク」ということで、自分たちが
製造せず、素材等を供給することで安定的な利益確保になるのです。
韓国は、現時点では自国で生産することにメリットを感じていますが、労働組合の横暴で人件費が高騰したり、ストライキにより年間製造日数が減少すれば、生産性の低下と商品の上昇で競争力が低下することは必然です。
そのため、日本からの省エネ技術と高度な製品を作る技術、施設の導入をどこよりも早くすることで市場を維持したいと考えているのです。
話は長くなりましたが、そのため日本との関係が不健全であることは製品製造の障害になることが理解できはじめたので「日韓関係改善」に相当な意欲を燃やしているのです。
韓国にとって、莫大なメリットがありながら、韓国民に対しては韓国政府、韓国企業ともこの事実を極力伏せています。韓国政府は「日本に勝つ」と韓国民を鼓舞していますから、「このような事実があるから韓国は日本に妥協しなくてはならない」と言おう物なら政権運営が崩壊してしまいます。自分たちが不利な状況をわかっていても、誰もが口をつむぎ、知らないふりをしながら日本交渉あたっています。
韓国の「賢人会議」ですが(顔の極めて不自由な)文喜相(ムン・ヒサン)を除き、日韓基本条約の歴史を理解し、自分たちが約束を守っていないことを理解しながら日本に向け、それでも妥協することを要求し続けています。
彼らの交渉は慰安婦問題解決も含め、必ず「今回が最後だから」というのが枕言葉にあがりますが、今回はその言葉すらありません。ない理由は徴用工問題は新たな訴訟がこれからもあり得るからです。
彼らは、今回の徴用工問題解決にあたり、2つのことを同時に解決する必要があります。1つは日本政府との合意であり、もう一つは韓国徴用工ならびにその家族との合意です。
そこでさらに難しいのは、徴用工訴訟が今後とも永遠に起こりうることが予想されますから,日本に対し「今回限り」というのが口が裂けても言えないのです。かつては、自分たちが弱い立場にあることと、米国が日本に圧力をかけてくれていたから、「今回限り」が何度も通用しましたが、両国から見放された現在はそれも不可能になって、とにかくおとなしくへりくだりながら、日本に対して粘り強く、日本側からの資金参加に向けた環境を作ろうとしているのです。
韓国としては、一度出してもらえば、それを根拠に額の大小はともかく永遠に出してもらえることになると考えており、韓国民にも自分たちの外交勝利を強くアピールすることができます。
今までも行われてきた賢人会議ですが、その構成員は万尾日本大使であったり、外相、外務次官を務めた人々であるため、日韓交渉記録を十分に理解し、日韓基本条約の位置づけと交渉過程で自分たちが責任をもって徴用工の補償を実施することを義務があることも承知しています。少なくとも朴 槿恵(パク・クネ)政権まではそのような理解で日本に請求しないことを遵守していました。
しかし、韓国大法院で判決を出してしまったからには、その判決をくつがえすことがいかに労力を費やすことは、韓国人にとって最も屈辱的な「親日」というレッテルすら貼られるということです。
そのため、構成員から一人として「韓国が責を負うべき」という言葉が出てきません。もしかすると賢人会議事務局側から「解決策に対し、その言葉だけは絶対に発しないで欲しい」という事前告知がなされているのかもしれません。
こういう聖域の設置は、結局国際法を無視する韓国の立場を肯定しながら、課題解決にあたるという仮に先進国と表現するのをはばかる対応を堂々と行っているということです。非公開の場所ではそのような議論をなされているのかもしれないですが、日本の主権をないがしろにする議論は許せないことです。
韓国外交部の事務サイドでは関係局長が日本に訪問し、日本の妥協を迫っていますが。日韓基本条約に抵触する解決法を日本としてはできないことに対する回答ができるかどうかです。
韓国としては資金提供について、日本政府でなく日本企業のそれも「寄付」という任意のものだから日韓基本条約には抵触しないということですが、ここに謝罪を付加することは「謝罪プラス寄付」ということは第三者的に見れば間違いなく「義務負担」と捉えられるものです。
こういう解決は、ありえないし、あってはいけないことです。
韓国の「賢人会議」とやらは、日韓関係正常化のためという御旗に日韓が協力してとしていますが、韓国のメリットだけに着目し、日本に対してなんの利益もないところで議論していることを理解すべきです。
こんな会議を何十回、何百回やっても日本がうなずく結論にはならないでしょう。韓国人や韓国マスコミに対するガス抜き的パフォーマンスでしかありません。実効性のあるものにしたいなら、議論の中に日本から佐藤正久氏や高市早苗氏を招いて議論するぐらいしないとダメです。それとも先般、麻生太郎氏が訪韓した際に前話が終わった段階での協議なのでしょうか。
徴用工問題については通常の交渉と異なり、日韓が50対50で妥協し合うものでなく、100対0か、日本が精一杯妥協してせいぜい「95対5」までがその振れ幅になる交渉です。勘違いしないでもらいたいです。