11月30日に名指揮者マリス・ヤンソンスが亡くなりました。かねてから心臓が悪く、コンサートのキャンセルを何度も聞きました。日本公演でも何度かキャンセルがありました。

 近年ロイヤルコンセルトヘボウoとバイエルン放送soを引き連れ1年ごとに来日公演をしていました。

 僕も何度かヤンソンスの公演に出かけました。

 演奏スタイルは温和で中庸。マゼールのようにピリピリした音とは対照的で、マーラーでも全く煽ることなく、自然体の演奏をしていました。

 このマエストロの演奏を聴いていると安心感はあるのですが、どうして頻繁にベルリン・フィルやウィーン・フィルを振っているのかわからないこともあります。

 特に数年前、世界で最も優れたオーケストラとしてロイヤルコンセルトヘボウoが選ばれ、首席指揮者として君臨されていましたが、実演で聴いても「なぜ?」とぐらいしか感じませんでした。2010年の来日の時はマーラーの第3番を持ってきたのでサントリーホールとミューザ川崎にはせ参じました。

 演奏は多少傷がありましたが、実直な演奏でした。最終の6楽章は誰が演奏しても破綻はないのですが、名器コンセルヘボウをサポートしたやはりおおらかな演奏でした。

 見た目も非常にダンディで演奏後楽屋口まで行ったとき、おしゃれなネクタイとマフラーがとても目に付きました。

 昨年はバイエルン放送soを引き連れマーラーの交響曲第7番を演奏する予定でしたが、演奏会が平日でやむなくあきらめたら、ヤンソンス自体も来日キャンセルになりました。

 

 若いときはスリリングな演奏を好みましたが、最近は必ずしもその選択でなくてもいいような気持ちになってきており、もう一度ヤンソンスの演奏会に接したいと思うようになっています。

 僕が聴いた最後の実演は、多分2012年のベートーヴェンの交響曲第6番と第7番だと思います。

 もう7年が経過してしまいました・・・

 パーヴォ・ヤルヴィがNHKsoに常任としてきてくれるようになってから、疎遠になってしまったのかなあと思います。

 いぶし銀の名指揮者が他界してしまったことは非常に残念です。ご冥福をお祈りします。